あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい③「オトナ高校」

①②はこちら。今更ながら順番は関係なし。

asunako-hakusho.hatenablog.com

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本題に入る前に捕捉する。

突然だが、私はチープなドラマが好きだ。

チープと表現すると作品を批判していると感じる方もいるかもしれないが、そうとも限らない。チープといっても色々ある。脚本か、テーマか、作風か、それとも全部なのか。どれが良くて何が悪いかは一概には言えないが、たいして何も考えずに視聴でき、茶番のように見え実は果てしない伸びしろを潜めているのがチープドラマの良さだ。

 

今までもそうだったが、ここからは私の個人的すぎる見解。

チープなドラマと言えばテレビ東京を想像するかもしれないが、私はテレビ朝日もお勧めしたい。遊び心あるテレ東は確かにチープな作品が得意で、毎クールある一定の層にとても好まれる作品を送り出している。しかしテレ朝は毛色が違う。テレ東のアングラな雰囲気に対し、テレ朝はなぜか堂々としているように感じる。

テレ東が下北沢の劇場で茶番をしてそこに通うマニアたちに披露するならば、テレ朝は東京ドームで好み関係なく堂々と茶番劇をするような…この表現があっているかはわからないが、妙な華やかさと堂々たる感じがテレビ朝日のチープドラマにはあるのだ。

相棒」や「ドクターX」の放送局がこんなゆるい作品を放送するのか!?とテレ朝の深夜枠には度々驚かされるもので、現に今放送されている「重要参考人探偵」はその典型的な例だ(そして重要参考人探偵も何が面白いかは不明だが何か面白い)


しかし、侮っていると三周くらい回って「迷作」が「名作」へと進化する作品もある。昨年放送された「不機嫌な果実」や「奪い愛、冬」は量産されまくっていた不倫ドラマ界に、突如彗星の如く現れ我々に強烈なインパクトを残した。「家政婦のミタゾノ」はTOKIO松岡君の女装姿が見れる上に生活の豆知識まで知れるとよくわからない奇妙なお得さを感じたし、前クールの「あいの結婚相談所」での山崎育三郎さんの使い方には各局が嫉妬したことだろう。

そんなテレ朝深夜枠が次に生み出した作品がこれだ。

 

③オトナ高校(テレビ朝日/土曜/23時5分)

2017年政府は深刻な少子化に歯止めをかけるため、性経験のない30歳以上の男女を公的教育機関「オトナ高校」に強制入学させる「第二義務教育法案」を打ち出した。政府から突然、オトナ高校への入学を義務付けられたトップバンク行員の荒川英人は戸惑いつつも入学。卒業条件である「童貞卒業」を目指して30代から50代まで様々な学友と悩みながら人として成長していく。(wikipediaより)


OPは主役の荒川英人を演じる三浦春馬さんが、何とも言えないチャーミングな笑顔で小粋にステップを踏む。このわずか10秒程度のOPを見るだけで感じる。このドラマ、センスがいい。

少子化対策の為に、童貞・処女を卒業させる」という非常にシンプル且つチープなテーマだが、実は奥深い。ゴールデンボンバー歌広場淳さんも毎週ドラマに関する考察ツイートをされる程の熱狂っぷりだ(私はこの歌広場さんの思いが、最終回直前で作品に何らかの形で結ばれるのではないかと予想している)


なぜあの三浦春馬が、黒木メイサが、そして高橋克実までもが未経験なのか。各々の未経験の理由が様々で皆色々なことを拗らせているのだ。
そのオトナ高校の教師陣は、5人の子宝に恵まれた翔馬先生(竜星涼さん)、可愛い顔をして実は百戦錬磨のさくら先生(松井愛莉さん)、見た目と裏腹に5人の愛人を持つ持田先生(正名僕蔵さん)と生徒に負けず劣らずの強烈な設定である。
「性行為をする」ということが目的且つ卒業の条件だが、その授業は実生活での人への接し方やアプローチ方法など基本は他者とのコミュニケーションが主な内容だ。画面越しの私たちも、過激な三人の先生から何か学ぶことがあるのかもしれない。

 

普段のツイートや今回の記事の文章でちょいちょい気持ちがはみでるかもしれないが、私は三浦春馬さんが好きだ。前から好きだったが、この度の「ラストシンデレラ」再放送で再び沼にはまった。その「ラストシンデレラ」では究極の年下彼氏を演じ「直虎」では稀代のスケコマシを演じた彼の次作が、「チェリート」とあだ名のついた童貞だなんて誰が予想しただろうか。
「イケメンが童貞を演じてもな…」と言う方もいると思うが、童貞なのは荒川英人だ。英人は高学歴高収入高身長で且つ御顔が三浦春馬という類い稀なポテンシャルを持っているが、重度の拗らせを発症しており当初の性格は事故物件レベルでひどかった。
「ピンク英人」といわれるピンク背景で英人が心の内を喋るカットは、少なくともモテる人が言わないような言葉・持たない思考のオンパレードだ。
しかしその英人が嫌がっていたオトナ高校で学び、壊せなかった自分の殻を徐々に破っていく。「自分の信念を持った大人が頑張って変わる」というテーマは「先に生まれただけの僕」と通ずるものがあり、きっとあなたもチープドラマにありがちな謎の感動を味わうことになるだろう。
三浦春馬さんを始め、今作は役者全員の芝居が振り切っていて気持ちがいい。安定の高橋克実さんや久々のドラマ出演の黒木メイサさんを始め、竜星さんや夕輝さんなど役者さんそれぞれの新たな魅力に気づくはずだ。

 

話は逸れるが、私の知り合いにも高学歴30歳童貞がいる。しかし残念ながら、三浦春馬でもなければ三浦春馬の「み」の字もない。

そう。現実世界ではありえないことなのだ。しかし今の段階で残すところ数週間は「三浦春馬が童貞な世界」が存在している。更に言うと先週は城田優までもが童貞な世界」がそこにあった。
一息つけた土曜の夜にはテレ朝にチャンネルを変えてほしい。

その時間軸にしか存在しない童貞の三浦春馬が、きっとあなたを待っているはずだ。