2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい①「先に生まれただけの僕」

前回の記事は小生意気な記事を書いたため、今回は今季おすすめドラマに触れる。

以前、こんなツイートをした。

上記の通り、私の今季のおすすめは「明日の約束」「先に生まれただけの僕」「オトナ高校」だ。今季は各局ごとに面白いドラマがあるのだが(ドラマ好きな方やコアな作品が好きな方は「監獄のお姫さま」や「刑事ゆがみ」がおすすめ)ドラマをあまり見ない人にも見やすくハマりやすい三大学園ドラマについて書いてみる。

 

「医療モノ」「刑事モノ(推理)」「学園モノ」は、ドラマにおいて【三大かぶりがちジャンル】だ。特に医療モノや刑事モノは一話完結で世代を選ばず楽しめるため視聴率も上がりやすく、各クールに大抵一つは入っている。今季ではテレ朝鉄板の「ドクターX」とTBSが力を入れている「コウノドリ」が医療ドラマでは被っているが、どちらも視聴率が高い。

ちなみに「刑事モノ(推理)」でいうと、2017年春期にフジテレビが「貴族探偵」「CRISIS」「犯罪症候群(東海テレビ)」「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」と自局で四作品も被らせるという狂気の沙汰としか思えない所業をしていた。週刊フジテレビ批評に投稿しようかとあの当時は随分考えたものだ。

 

今回取り上げる学園ドラマは、日本テレビ・フジテレビ・テレビ朝日と放送局も分かれているが、内容的にも見事な住み分けをしている。「学園ドラマの中で三つおもしろいもの」ではなく「面白いとおもった作品三つが全て学園ドラマ」という奇跡の世代ならぬ奇跡のクールだ。まだ見たことがない作品があったら是非一度見ていただきたい、しかしネタバレしてしまったらごめんなさい。

 

①先に生まれただけの僕(日本テレビ/土曜22:00)

 

やり手の商社マン・鳴海(櫻井翔)が次に出向を命じられた先は、会社が経営している私立・京明館高校だった。偏差値40台、毎年定員割れギリギリの京明館高校の校長に赴任した鳴海は、教育現場に戸惑いつつもビジネスマンの観点から学校改革を試みる。

 

主演は嵐の櫻井翔さん(普段は何故か"くん”呼びしているので以下:櫻井くん)初回を見た私の感想は「ニュースZEROの学校立て直しドキュメントみたいだな」というもので、ただ周りの先生役の役者がバイプレイヤー揃い(蒼井優さん・木南晴夏さん・荒川良々さん等)で面白そうという印象だった。

しかし、今までの学園ドラマと一線を画すところがこのドラマにはある。

これは、教師と生徒たちの友情・愛情を描くありきたりな学園ドラマではありません。教育を施す、教師たちの人間物語なのです!(公式サイトより)

 まさに「それだ!」という感じだったので、私のつたない表現ではなく公式の文言をそのまま引用させていただいた。

これまでの学園ドラマと言えば「金八先生」にしろ「ドラゴン桜」にしろ、「特殊な生徒たちを圧倒的カリスマを持つ教師が指導していく」というコンセプトの作品が多かった。しかし、今作のテーマは「生徒や学校を変えるために、まずは指導者である教師たちが変わる」ことだ。未熟で柔らかな頭を持つ生徒たちではなく、自分たちなりの信念を掲げプライドを持って仕事をしてきた大人たちが変わることは容易ではない。しかし、鳴海校長と出会って「変わりたい」と思い、不器用な大人たちが努力する姿に毎回胸が熱くなるのだ。

 

第一話では上司に命じられるがまま学校に左遷された鳴海が、商社マンっぷりをゴリゴリに発揮し自分のビジネス論を展開する。「生徒はクライアントであり商品だ」とまで言い放ったりと案の定教師陣からは反感を買うが、視聴者からすると「教育者ビギナー」の鳴海の発言や提案は的を得ているのだ。

試行錯誤しながらも彼が入れたメスによって新しい風が吹き、一歩ずつだが着実に前へ前へと学校全体が進んでいく様子は、見ていて爽快に感じるはずだ。

 

櫻井くん演じる、この「鳴海涼介」という役がクレバーで尚且つリーダーとして非常に優れている人物だ。有名商社で赤字だった子会社を立て直すなど敏腕のビジネスマンという設定だが学校ではその華々しい経歴に奢ることなく、あくまでも「新人校長」として学校が抱える様々な問題に真摯に立ち向かう。今まで地味で目立たなかった先生の言葉に耳を傾け積極的に新しいことに挑戦したり、一会社の社長のように校長として教師陣を守ったりと、やることなすこと上司としては「完璧」だ。

この役も櫻井くんにあてがきしたのかなと思うくらいのハマりっぷりである。

個人的な意見だが、ジャニーズの中でも櫻井くんはキャラクターが立ちすぎていて(アイドルもだがキャスターとして成功しているのでそのイメージが強い)自分以外の誰かを演じる「俳優」としては役を選ぶタイプの人だと思う。ジャニーズやアイドルが演じるとその役柄のどこかに「アイドル」っぽさが出てしまうように、櫻井くんはそれに加え「キャスター」っぽさが出てしまう可能性があるのだ。

しかし、今回の鳴海涼介という役柄はそれをまんまと逆手に取った。大勢を前にして人を惹きつけるカリスマ性は「アイドル・櫻井翔」の一面が、他人の意見に耳を傾け自分の考えを伝える人間性は「キャスター・櫻井翔」での一面が活かされ、そのまま「鳴海涼介」という役の魅力に繋がり、まさに「櫻井翔しか考えられないキャスティング」なのだ。

 

先述したが、脇を固める教師陣のキャストも面白い。これでもか!というくらい名バイプレイヤーが揃い、生徒以上に気難しく個性があふれんばかりの教師を演じている。中でも荒川良々さん演じる郷原先生がいい。彼は最後まで鳴海反対派として抵抗するのだが、彼が鳴海に反発する理由や抱える事情が何だか人間らしくて、まあそんな考えを持つ人もいますよね~と思わず共感してしまう。その郷原先生にスイッチが入り「変わろう」と決意する瞬間が何なのか。この回は今作の山場とも言えるくらいの神回であった(当社比

 

「先に生まれただけの僕」というタイトル通り、このドラマは元は先生でも何でもなく一社会人として生きていた鳴海が、生徒たちに人として何を教えるか、そのためにはどうやって学校という組織を変えていこうかと奮闘する物語だ。

生徒世代のティーンエイジャーよりも、きっと社会人として数年過ごしてきた大人たちの方が胸に刺さるかもしれない。

 

ちなみにこれだけベタ褒めした鳴海校長だが、恋愛に関してはポンコツでドラマの世界の中でも完璧な人間なんて存在しないんだということを改めて思い知らされた。これからは鳴海校長の恋愛も話の核として描かれていくようだが、少しすると二周くらい回って「まあ、なるみん(鳴海)も人間だもんな…」と男としてのポンコツさが気にならなくなってくると思う…ので、まだ見たことがない方に今期、是非おすすめしたい作品だ。