あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい②「明日の約束」

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 ②明日の約束(フジテレビ/火曜21:00)

藍沢日向(井上真央)がスクールカウンセラーとして勤務する椿が丘高校で、吉岡圭吾(遠藤健慎)という生徒が自殺した。前日、吉岡に「先生のことが好きです」と告白された日向は生徒たちのケアをすると共に自殺の真相を調べることにした。クラスやバスケ部での虐め、母親の執拗な愛情…彼が最後に出したSOSはいったい何だったのだろうか…。

 

ジャンルとしてはヒューマンドラマだが、ミステリー要素もある。先述した「先に生まれた僕」とは違い、今回は一人の生徒の死を中心に様々なことが明かされるタイプの作品だ。この手の重いドラマが苦手な方もいると思うが、見応えもあり一話を見たら必然と続きが気になってしまうので、是非是非一度チャレンジしていただきたい!

 

今作は内容もさることながら、俳優陣のお芝居がとにかく凄い!
主演の井上真央さんは「花燃ゆ」以来の作品だが全くブランクを感じさせない、等身大でナチュラルな芝居が相変わらず素敵だ。今作の日向は強烈な個性がある役柄ではないが「何事にもめげず芯がある女性」という女優・井上真央の専売特許は受け継がれている。自身も複雑な事情を抱えながらも、生徒のことを思い生徒に寄り添う姿はまさに理想的なスクールカウンセラーだ。


その日向先生と行動を共にしているのが、自殺した吉岡君の担任で及川ミッチー演じる霧島先生である。私の周りにはどこをどう見渡してもミッチーはいないのに、ドラマや映画の中では病院でも警察でも学校でもはたまた戦国時代でも溶け込めるミッチーは本当にすごい。今回も溢れんばかりの王子オーラを封印して、ミステリアスな霧島先生を演じている。


豪華キャストに負けず劣らずの存在感を表しているのは、生徒役の若い役者たちだ。
複雑な家庭の子を演じさせたら右に出るものはいないのでは?と思う山口まゆさん、ゼクシィのCMでも御馴染み・佐久間由衣さんなど、既に注目されている若手も出演している。
しかし、バスケ部の孤高のキャプテン・長谷部役の金子大地さん筆頭にこれからバンバン色々な作品に出演するのだろうなという役者さんも多い。
中でも、重要人物中の重要人物である吉岡くんを演じた遠藤健慎さんは、今作が初めてのドラマ出演でWikipediaにすら項目がない。今の時代に金八先生が放送されていたら、彼は間違いなくメインで笑えないくらい複雑な家庭の事情を持つ生徒を演じているだろう。

かつての「女王の教室」のように、数年後メインを張っていそうな将来のエース候補が多いのも見どころだ。青田買いするなら間違いなく、今期ではこの作品だ。

 

「生徒の自殺」と同じく、この作品の鍵となるのが「毒親」である。
最近は毒親を題材にしたドラマも多く、言葉の意味は知らなくても何となく雰囲気はわかるという方も多いと思うし、現に私もそうだ。私が思うに毒親は2パターンある。

A:過保護・溺愛タイプ
自分の子供が愛しているがために、必要以上の束縛や干渉をする。
代表的な例は、NHK「お母さん、娘をやめていいですか」の斉藤由貴さんだ。自分の娘の写真を待ち受けにし、デートにも尾行していた。麦野くんフィーバーを起こした「過保護のカホコ」のママ、黒木瞳さんもライトなAタイプだ。

B:サイコパスタイプ
ふとしたことをきっかけに発狂し怒鳴りだし、時々考えもしないような過激な行動に走る。
代表的な例は、TBS「Nのために」の山本未来さんだ。未だに彼女の顔を見るとあの名物お母さんを思い出してしまうのは私だけではないだろう。

 

なんと「明日の約束」では一作品で2タイプの毒親に会える仕様になっている(ちなみに公式グッズで「毒親黒まんじゅう」という何ともそそられないネーミングの饅頭を発売中)


Aタイプの毒親は、井上さんと共にこの作品の看板を担ってる仲間由紀恵さんだ。自殺した吉岡君の母親で彼がいじめによる鬱病の為に自殺したと考えており、学校と敵対関係になる。

仲間由紀恵というワードを見てピンと感じた方もいるだろう。そう

 

私たちは潜在意識の中で「仲間由紀恵」と「東方神起」が揃うと、とてつもなく怖くなることを知っているのだ(美しい隣人、サキ)

 

そんな本作の主題歌もまさかの東方神起である。「鬼に金棒」ならぬ仲間由紀恵東方神起な今作の彼女もとてつもなく怖い。あの色気のある声が逆にゾクゾクと底冷えするような怖さを醸し出している。今は学校を提訴しようとしている最中だが、今後とんでもないようなことをしでかすに違いない要注意人物だ。
その仲間さんに負けず劣らずのBタイプの毒親が、日向の母親役・手塚理美さん。日向と同居しており、普段は穏やか(という設定だが正直普段から怖い)だが日向が少しでも自分の意見を言おうとすると急にスイッチが入り、まくしたてるような物言いで日向のことを罵倒する。初見時、これは「Nのために」と肩を並べるほどの超ド級のモンスターだと思った。人間の姿をしたモンスターだと…。日向は外でも毒親と戦い家でも自分の毒親と生活しているというのだからドラマとは言え、驚きである。個人的には実母の手塚さんの方が明らかに厄介そうだ。


タイトルの「明日の約束」だが、学園ドラマにありがちな無難な理由でつけられたのではなく日向の母親と関係しているもの。これまた公式ショップでこのタイトルに関係するクッキーが売られているが、ドラマを見たら「何でこれをクッキーにしたんだろう」と思うだろう。購買欲は湧くかもしれないが、食欲は失う。

暗い内容かと思われるかもしれないし正にその通りだが、毎週気になって気になって仕方がない作品だ。ひいき目だが定評ある関西テレビ制作なので、私は最後まで期待している。

 

最後になったが、日向や学校を追い詰める記者役で六角精児さんみたいな人がいる。
その人は六角精児さんではない。

俳優の青柳翔さんだ。

 

繰り返す。
六角精児さんでは な い。
(見ればわかる)