あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

最終回目前!今からでもわかる「あな家」のあらすじを書いてみた

 

asunako-hakusho.hatenablog.com

 


私は頭を抱えていた。
前回「モンテ・クリスト伯」をより多くの人に見てほしいが為に記事を書いたのはいいが、ネタバレになってしまう故に内容についてはあまり書くことが出来なかった。結局私があの記事で伝えられた事は、おディーン様の新曲「Echo」がものすごく良い曲だということだけだったのではないか。

こんな私でも作品自体の良さを伝えられる面白いドラマが、他にあるんじゃないか。そう考えた。あった。

 

 

あなたには帰る家がある(TBS金曜10時)

www.tbs.co.jp

 


前回書いた「モンテ・クリスト伯」に負けず劣らずの面白さがある「あなたには帰る家がある(通称:あな家)」もしあまりドラマを見ていない人に今期のオススメを聞かれたら、私はまずこの作品を挙げるようにしている。

もう何番煎じだと言われようが「不倫」という題材は人を夢中にさせる要素があるし、脚本のテンポも良い。役者のお芝居もそれはそれは見事だし、普段あまりドラマを見ない人でも見やすい作品だからだ。見た人によって受ける印象が違う「体感型ドラマ」な点も面白い。

 

しかしそうは言えど、現段階で既に9話まで放送済み…何なら今日は10話だ(書くのが遅い)

面白そうだけど今からついていけるはずがない…という方に向けて、僭越ながらこれさえ読めばバッチリ的な勢いのあらすじを書かせていただこうと思う。

 

あらすじ

 

 

玉木宏木村多江が不倫する

 

 

 

 

以上!

 

 

 

 

おいおいこんなんでわかるわけねえだろと思った方々。大丈夫。「あな家」はこれさえ押さえておけばついていける。

あらすじもスーパーウルトラ簡素だが、登場人物も押さえておくのは一先ず4人だけでいい。

 

主要人物

佐藤真弓(42/中谷美紀)

旅行代理店「ラクタビドットコム」に勤めていたが、妊娠・結婚を機に退職して結婚13年目の専業主婦。家事は適当でガサツだが、弱音は吐かないなど強気なところがある。(Wikipediaより)

 

今作の主人公。四人の中で唯一の常識人とも言える。

 

浮世離れした美しさを持つ永遠の綺麗なお姉さん・中谷美紀が中学生の母親役なんて…と始めは思っていたし何なら1、2話までそう思っていたけれど、今ではすっかりハマリ役。テレビ前で我々が「ハァ??」と思うことは、大体彼女が代弁してくれる。真弓の言葉にテレビ前でついつい「わかるわ…」と言っちゃう人も多いだろう。


ちなみに、多くの人の心に刺さる真弓の台詞の中で私が一番好きなのは、朝から家に乗り込んできた不倫相手(木村多江)に向かって言った「あんた頭おかしいよ」頭おかしい奴が目の前にいたら言ってみたいですね。



佐藤秀明(39/玉木宏

 住宅販売会社「渚ホームズ」勤務。几帳面で細かいことを気にする性格。映画とメンチカツが好き。(Wikipediaより)

 

バカ。

本当にバカ。ロマンチストバカ。玉木宏の顔をしたバカ。

 

 

担当している客の奥さん(木村多江)に手を出すという最低な行為を犯してから地獄まっしぐら。バレてからは猛省し家族再生の為に復縁に挑むが、何と言っても詰めが甘い。バカだから詰めが甘い。

玉木宏なのに全く格好良くない役柄だが、玉木宏だからこそ個人的には憎むに憎み切れない罪な男である。ちなみに「あなたには帰る家がある」という表題だが9話時点で秀明が帰る家はなく、小さなアパートを借りている。

 

 

那須田太郎(47/ユースケ・サンタマリア)

早瀬中学校の国語科の教師。二世帯住宅に建て直そうと、夫婦で秀明の会社のモデルハウスを訪れる。(Wikipediaより) 

 

屑。

 

世の中の嫌な奴を一つに集めたら、茄子田という男になるんじゃないかと思う。

「価値観が古代時代くらいで止まっているのでは…?」と疑うほどの男尊女卑思想。亭主関白で横暴、更にドン引きな点が妻に夜生活を強要しているということだ。ど、どんだけ〜。セクハラ・パワハラモラハラとハラハラハラ!ハラスメントと辞書で引いたら、意味の所に茄子田と記載しても良いレベル。

 

ポイントは茄子田の職業が「教師」だということ。恐らく彼が一社会人として会社という組織に所属していたならば、こんな類のモンスターは誕生していなかったのではないだろうか。ちなみに、茄子田の学校の修学旅行を担当しているのが真弓。真弓にとっても秀明にとっても、茄子田は「大切なお客様」なので尚更つけあがっていると言う訳だ。


そんなモンスター・茄子田だが、後半からは妻・綾子へのどうしようもない愛情や、意外に可愛げがある奴だという事が判明する。可愛げがあると言っても毛が生えた程度で実際は1ミリも可愛くはないけれど、茄子田が改心する日は来るのだろうか(そして十話を見て土下座する私)

 

 

茄子田綾子(43/木村多江)

家庭的で料理上手な美人。「家庭を壊すつもりはない」と言いながら、秀明の携帯に頻繁に電話をしてくる。秀明が自分を拒絶するのは真弓のせいだと思っていて、秀明にしつこく付き纏う。(Wikipediaより) 

 

 

化け物。

申し訳ないが化け物。

 

大雑把な真弓と対比する存在なのが綾子。中谷美紀の対抗馬として木村多江を持ってくるところに抜群のセンスを感じる。

主婦として家事に従事し「良妻賢母」を絵に描いたような人物として描かれていたが、時にはその女性らしさが暴走し、我々の予想の遥か斜め上を行く事も多々あり茶の間に爆笑を巻き起こす。

例えばBBQで手作りソースを用意したり、お手製のメンチカツを真弓の職場に差し入れしたり、ケジメをつけようとした秀明が綾子を呼び出した際にはピクニックのお誘いと勘違いしたのか、トルティーヤを作ってきた(さすがの秀明もこんなものをクルクル巻いている場合じゃないと言っている)こんな厄介な女に引っかかるバカなんているのか。いた(佐藤秀明に戻る)


先述した通り、後半では朝7時から佐藤家に乗り込み佐藤家の娘(麗奈)の前で「貴方のお父さんと私、とても愛し合ったの!」と叫び出したり、秀明の新居に行った際に勝手に合鍵を持ち出し不法侵入するなど暴走っぷりが加速してきた綾子。なんなら犯罪だ。

9話では自分の母親が危篤状態にも関わらず「秀明さんが実家に送ってくれたら母に会う」と駄々をこねていて本当にどうしようもない女だと思った。絶対近くにいてほしくない。

このどうしようもない女は過去に一癖あるらしく、10話では綾子の生い立ちが明らかになる。

 

 

「不倫」の先にあるもの

 

題材は不倫だが、このドラマの本質はそこではない。

現に2・3話で秀明の不倫は早々に発覚するし、中盤で真弓と秀明は離婚する。不倫はあくまでもきっかけに過ぎず、その後の家族の物語を描いている。


今作は随所に出てくる「男女での考え方の相違」が面白い。

 

例えば佐藤家の場合。
お互いを「パパ」「ママ」と呼び合い、ベッドこそ同じもののそういった生活は一切無かった。秀明はともかく、女と見られていないと自覚した真弓は危機を感じ、冒頭では普段の立ち振る舞いや家事などを努力するシーンがあった。「大事な家族」ということに意識に変わりはない二人だが、少なからずも真弓には秀明に対して未だそういう気持ちがあったのだ。

 

そこに現れたのが「綾子」。自分の妻にはない綾子の色気や女らしさに、バカで単純でロマンチシズムな秀明はまんまと恋に落ちていった。家族を壊したかったわけではない。綾子と恋をすることも家庭円満の秘訣だと考えていた秀明なバカ。あ、違うバカな秀明。

 

しかし真弓より年上の綾子に、なぜ未だ女としての「現役感」があるのだろうか。

それは40を超えても母となっても尚、綾子は「女」として扱われているからだと思う。しかも一番近い異性である夫から。

皮肉にも秀明が惹かれた綾子の女らしさの理由は茄子田にあり、逆を言えば年々表面化する真弓の女らしさの欠如は秀明にも一因があるということだ。

 

不倫発覚後も二人のすれ違いは続く。

秀明は自分の行いを反省し、家族の為に良い夫になろうとバカはバカなりに涙ぐましい努力をしていた。真弓は真弓で中学生の娘を思い、このまま秀明と家族を続け馬車馬のごとくコキ使うのも悪くないな!と思っていたが、ある事を機に離婚を決意。どんな形になっても真弓と「家族」でいることを選んだ秀明に対し、真弓は秀明と「夫婦」でいることに限界を感じた。家族でいることや娘の大切さよりも、かつて愛した秀明への悲しみの方が勝ってしまったのだ。

 

「悔しいけど、私って自分で思ってたよりずっとパパのこと好きだったんだなって」

「だからパパ、私傷ついたよ。すごく傷ついた」

 

怒るのではなく涙をこぼしながら秀明に思いを打ち明ける真弓。秀明は真弓を抱きしめて謝るも、二人が戻ることはなかった。真弓と秀明、二人の考えの違いが顕著に現れたシーンだったと思う。

 

「あな家」のエキセントリックさは言わばファンタジーかもしれないが、登場人物の感情描写は緻密で非常にリアリティがある。山本文緒氏の原作の力も勿論だが、ドラマ制作前に100人以上の女性の意見をヒアリングしたらしく、それがかなり効いている。

原作とは登場人物の年齢や結末も全く違うそうで、特に今作の綾子の暴走っぷりはドラマ版の方が凄いとか。原作を読んだ方でも一味違った展開を楽しめるドラマに仕上がっている。

 

この広げに広げまくった話、果たしてあと二話で終わるのだろうか…?!と思いつつ、すっかり毎週金曜日が楽しみになった。個人的には有名な祈祷師とかを雇って、綾子を祓わない限り佐藤家に幸せは訪れない気がす(綾子は怨霊ではない)しかしもう真弓と秀明の力、いや人類の力で彼女を止めることは不可能じゃないだろうか。

 

最終回まで残り二話、なんなら本日10話放送!「あな家」ならではの癖のあるエキセントリックな結末を期待したい。superflyと共に「♫地獄へ落ちてゆけ〜!!!」 という準備は既に出来ている。