あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

今期は「僕たちがやりました」が兎に角スゴイ

気がつけば9月に入り、涼しくなってきた今日この頃。2017年夏ドラマも終盤に差し掛かり、中には最終回を迎えたドラマもある。

 

思えば夏ドラマに関しては、前期よりも期待度が個人的に高かった。その理由は何てったって月曜9時の「コードブルー」。フジテレビの月9がパッとするかパッとしないかでその期のドラマ全体のカラーが決まると思っているので、久しぶりに「これぞ月9だ!」と見せつけてくれるような作品だと期待していた。
蓋を開けてみると、コードブルー筆頭に朝ドラコンビの「過保護のカホコ」そして意外にも「カンナさーん!」がそこそこの視聴率を出していたことに驚いた(シリーズものは見ていないので刑事7人の方が視聴率いいというツッコミは心の中に閉まっていただきたい)


後述するかもしれないが、私は遊川和彦作品に対して少しトラウマがあるので、カホコに関しては最後まで気を抜かずに視聴しようと決めていたが竹内くんの麦野くんは最高of最高だし、終わってしまったが金曜23時枠の「あいの結婚相談所」は育三郎が歌う主題歌を口ずさむくらいハマっていた。その後のテレ東枠「下北沢ダイハード」もアングラな世界観が面白いし、「ハロー張りネズミ」のゆるい感じも「ウチの夫は仕事ができない」のチープさも好きだ(褒めてる)

しかし!!

 

最終回まで残りわずかなこの時期に改めてオススメしたいのは、

なんといっても

 

フジテレビ火曜21時の「僕たちがやりました


永遠の童顔・窪田正孝が高校生を演じることが話題になった青年漫画(完結済み)の実写版である。原作をチラッと見ただけなので原作ファンからしたら言いたいこともあるとは思う…あるとは思うのですが!!


一ドラマ作品としては、かなり、かなりクオリティが高い!!(語彙力)作品の世界観、展開の仕方、そしてキャスティングセンス…!「僕たちがやりました」「ネタバレ」とggってしまったら安易に結末はわかってしまうのだろうが、それをグッとこらえて次週を待ちわびている自分が毎週テレビの前にいる。

 

話としては、凡下高に通うトビオ、伊佐美、パイセンが虐めにあった仲間・マルの復讐の為に、4人で向かいの矢波高に小さな爆弾をかける。計画ではビビらす程度の小さなものだったが、手違いで大爆発が起こり大勢の死傷者が出てしまう。四人は自分たちの「普通」「平凡」を守る為、逃亡生活を送ることになる。

こう書くと、そんな上手くいくんかいというツッコミどころ満載だが、それがまあまあ上手くいくのだ。


なぜかというと、爆弾事件の犯人の一人・元キンコメの今野演じるパイセンが物凄く役に立つ。超ド級の金持ちで逃亡資金だと200万ずつ渡したり、海外に逃亡しようと企てたり、結果彼の関係者が事件を揉み消ししたり…ピンチだ!!と思った時に必ず札束を持って颯爽と登場するパイセンに心を鷲掴みにされたのはきっと私だけじゃない。

パイセンに比べ、現役高校生三人組は普通でイマドキっぽい。主人公のトビオを始め、皆「平凡」と「そこそこ」を愛し、特別なことは望まない。自分たちが殺人犯で犯罪者なのにも関わらず、ワンチャン助かるかもしれない…!と浮かれたと思えば、一気にマイナス思考になる様子も何となくリアルだ。


中でも矢波高生にリンチにあった張本人・マル(葉山奨之)に注目したい。キノコ頭の彼は一見気弱そうに見えるが、事件を経たことで図太く進化。逃亡金200万で何をするかと思えば贅沢を極め、挙げ句の果てキャバ嬢に貢いで金がなくなり仲間の伊佐美(間宮祥太朗)の金さえ奪おうとするズル賢さを見せる。こいつゲスいな…と思うが、何となくこういう人間がいそうなのが怖いし、リンチされ虐げられて瀕死状態になりながらも生き延びたその結果が、彼の歪んだ部分を生み出したと思うと何とも可哀想である…
また、このマルを演じる葉山くんがとても上手い。逃げ恥にも月9にも、何なら私が大好きな「Nのために」にもいたわ!!と後からWikiを見てとても驚いた。それほどこのマルという役柄が合ってるし、下手したらこのイメージを引っ張ってしまうのでは…と思ったけれど、彼なら次回作にもピタッとフィットすることだろう。今後がとても楽しみな俳優さんの一人だ。

 

男性陣ではトビオ達を追う矢波高生・市橋役の真剣祐にも注目したい。彼こそマルをリンチし、数々の凡下校生を締め上げていた矢波校のトップである。「不良なマッケンもかっこいいよぉ〜>_<」と放送前はのんきに構えていたが、その端正な顔立ちとは裏腹にマジで怖かった。新宿スワン山田孝之並みに怖い。顔も綺麗だから尚更怖い。しかし、そんな彼も爆発事件の被害者で、車椅子生活になってしまう。
当初はトビオ達を犯人だと思い、彼らを追っていたが、ひょんなことからトビオと親友になる。実はトビオの幼馴染・蓮子(永野芽郁)のことが一途に好きだったり、お婆ちゃん子だったりと乙女ゲームの不良みたいなギャップを発揮したりする。
トビオとの男同士の友情は何とも微笑ましいが、、、もうこれ以上い、いえないううううっマッッッケーーーーン!!!!!!!

 

ヒロイン・蓮子を演じる永野芽郁ちゃんも超超可愛いが、毎回視聴者を釘付けにしてるのは何と言っても伊佐美の彼女・今宵を演じる川栄だろう。
クラスにいそうでいない可愛さ、ふわっとしてそうな体、ゆるふわそうな見た目と頭。彼女も現代っ子あるあるな事なかれ主義の子かと思えば、実は肝が据わった一面を見せる。
前クール「フランケンシュタインの恋」で男勝りな女職人を演じていた川栄ちゃんだが、今回みたいなそこらへんにいそうでいないビッチ役を演じさせたら右に出るものはいないんじゃないかと思う。
彼女もまた、どハマりな役だ。

 

「爆発事故を起こした高校生+金持ちのボンボンが巻き起こす逃亡劇」と単純な話かと思えばそうでもない。
トビオたちを様々なピンチが襲うがその度にギリギリのところで助かる。見ているこちら側も「このまま上手くいくんじゃ…?!」と思ってしまうところで、必ず彼らを絶望が襲う。
「はぁ助かった」とフニャッと笑った直後に後頭部をハンマーで殴られ「忘れんなよ」と奈落の底に落とされるような…何が言いたいかというと、幸福から奈落の底に突き落とす、緩急のつけ方がとても上手い。何が言いたいかと前置きしてるくせに語彙力が無いのが恥ずかしい。
トビオ達だけじゃなく、見ているこちら側も油断していたら突き落とされる。だからこそ、来週も見たい次回はどうなるんだ!!とワクワクとハラハラが入り混じったような気持ちに毎度毎度駆られてしまうのだ。


Mrs. GREEN APPLEが歌うOP「WanteD! WanteD!」もトビオ達の焦燥感を表してるかの如くスピード感ある曲で、ドラマの世界観にもぴったりだ。(個人的にサビの「ぼっくらは逃げてーる、自分の弱さから」というバンドマンにありがちな歌詞が大好きです!!!!) 


私も録画組な為、視聴率に貢献できないので偉そうには言えないが、これだけクオリティが高い作品なのに視聴率に反映されないのは見る層を選ぶからだと思う。確かにお母さんとは見づらいし、かと言ってお父さんとも見づらい。

 

しかし今日の放送含め、残すところあと二話。今から見ても楽しめるであろうし、願わくば是非最初から見ていただきたい。少し退屈な火曜日が、ちょっとワクワクする火曜日の夜に変わるはずだ(しかしあと2回で終わる