あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

2019冬ドラマ初回感想①3年A組~家売るオンナの逆襲

出来ることならば、ドラマは最初から見た方が面白い。

常々そう思っている暇な私が各局の新ドラマの感想を(TVerの無料後追い放送に間に合うように)足早に話します。

 

①3年A組 -今から皆さんは、人質です‐(日テレ日曜22時30分)

 

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3年A組 ―今から皆さんは、人質です―|日本テレビ

初回:★★

卒業まで残り10日となるなか、担任の柊一颯(菅田将暉)は3年A組29人全員を集めて、突然こう告げた。「今から皆さんは、……僕の人質です」。爆発音が鳴り響き、騒然となる生徒たちを柊は教室内に閉じ込める。彼の最後の授業とは数ヶ月前に自ら命を落とした『ある一人の生徒の死の真相』について。遺書もなく、何かを告げることもなく、突然この世を去ったかつての学園のスター生徒。この真実を知るまで誰も卒業はできない。29人の生徒は自らふたをし、目を背けていたその『真実』と向き合うことになる。(Wikipediaより)

 

ジャンル:「何か見たことがある」が詰まったサイコ系学園ミステリー

 

・普段あまりドラマを見ないライトユーザー狙い?

・ゾクゾクさせたいらしいけど、緊張感はあまり感じない

・ダイヤの原石どころか、既にダイヤな逸材が揃っている生徒たち

 

公式はとにかく私たちをゾクゾクさせたいらしいが、いまいち緊張感を感じないチープな演出が日テレドラマっぽい。ゾクゾクはしないけれど、生徒がサバイバルナイフ持っていたり教師がピーーーーー(ネタバレ)なこともするので、ショッキングな描写が苦手な人には厳しいかも。

しかしこの際内容はどうでもいい、注目すべきは若手キャスト!学園モノはダイヤの原石を見つける楽しみもあるけれど、3年A組には既にダイヤモンドが揃っている。むしろド新人を見つける方が難しい。「3年A組に出てるあの子いいよね~、絶対売れると思う!」と呟けば、「いやww既に売れてますけどwww」みたいなリプライが来るだろうから私が見つけましたツイートは避けた方が良い。個人的推しは、「母になる」「アンナチュラル」出演の望月歩とドラマ版「チア☆ダン」出演の堀田真由。唯一無二の存在感を放つ富田望生に川栄に今田美桜とか、もうメジャーどころがゴッロゴロ。その中でまた新たな才能が出てくるのかとワクワクするけど、私が見つけましたツイートはグッと堪えよう。若手キャストの黒歴史にならないことを願います。

  

②トレース〜科捜研の男〜(フジテレビ月曜21時)

 

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トレース~科捜研の男~ - フジテレビ

初回:★

23年前の6月、当時小学生だった真野礼二は学校から帰宅後に、自宅で何者かに惨殺された家族の変わり果てた姿を発見する。葬儀で真野はこの事件の真相を自らの手で解明することを涙ながらに誓い、警視庁科学捜査研究所の法医科に所属する法医研究員となる。(Wikipediaより)

ジャンル:オモシロ科捜研ミステリーかと思いきやド級のサスペンス

 

・『科捜研の女』のパロディかと思えば悪い意味で「そうじゃない」

・月曜から耐え難い重さ

・主役は船越英一郎

 

「科捜研の男」なんて言うからミタゾノっぽい感じだろうと思っていたら、ド級のサスペンスで腰抜けた。初回なのに全く掴みのない内容にも腰抜けた。漫画原作で舞台は科捜研、ヒロインの名前は沢口だから「これ科捜研の男じゃ~~ん、サブタイトルにしちゃお☆」的なノリが全てを台無しに…なぜ科捜研の男を名乗った…!

初回に思った「なぜ…」だけで3000字くらいは書けるけど、フジ的には春夏くらいに控えてる本命作品前の箸休めなのかもしれない。それにしてもアンナチュラルが大ヒットして未だに熱が冷めない今、これ持ってきます…⁉船越英一郎ファンの方くらいには薦めたいけど、私が帝王のファンなら本家本元のサスペンスを見ます。

 

③家売るオンナの逆襲(日本テレビ水曜22時)

 

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家売るオンナの逆襲|日本テレビ

初回:★★★.5

天才的不動産屋・三軒家万智。彼女に売れない家はないという。客の抱える個人的な問題をも慧眼で察知し、容赦なく関わりながら、家という人生最大の買い物を型破りな方法や手段で豪快に売りまくる彼女の働き方・生き方に、次第に周りの人間も影響を受け、感化されていく。(Wikipediaより)

 

・イケメン見たいならここ!!!!(重要)

・何も考えるな、キャラクターをただ愛でろ!! 

 

「天才的不動産屋・サンチーがあらゆる角度からプロモーションを仕掛け、家を売りまくる話」と頭においておけば、いつ何時から見始めても大丈夫。チープな内容も相変わらずだけど、キャラ設定のセンスの良さも健在!視聴者の「こんな○○、見たかった…!」が詰まった夢のある作品で、目の保養をするならば一先ずここ。完全無欠のクールビューティー北川景子をコメディエンヌとして活かせるのも家売るオンナくらいかもしれない。

 

□深夜ドラマ部門□

 

④ ゆうべはお楽しみでしたね(TBS火曜1時28分)

 

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MBSドラマイズム「ゆうべはお楽しみでしたね」 | MBS

初回:★★★

ドラクエシリーズ初のMMORPGである『ドラゴンクエストX』に最初は戸惑っていた「パウダー」だが、ゲーム内で死んでいたところをオーガの「ゴロー」に助けられたためフレンドになる。そんなある日、ゴローはアパートの賃貸契約が切れるということで、一人暮らしをしていたパウダーの家に引っ越し、ルームシェアすることになる。

しかし、パウダーはゲーム内では女キャラクターだったが現実には男で、ゴローはゲーム内では男キャラクターだったが現実では女だった。お互いに同性だと思っていたためルームシェアを承知したはずが、勘違いで異性とのルームシェアになってしまう。(Wikipediaより)

 

・ゆるっと深夜ドラマを見たい人におススメ

・本田翼の「じゃあ、ドラクエしよっか!」に作品の魅力が詰まっている

 

ゆるっと深夜に楽しめる30分。普段派手めな化粧をしている本田翼が家に帰ったらモコモコのジェラピケを着てドラクエしてるなんて、なんつー夢のような光景…!その桃源郷が、ここにはあります。岡山天音の害がないラブコメ主人公男っぷりも良い。普段イケメン声優で活躍している宮野真守が、声は良いが何とも鬱陶しいアニメイト店員を好演!2019年はドラマ界隈でも見かけることになりそう。

 

***

次回は日曜劇場「グッド・ワイフ」視聴後に更新(予定!)

とても優柔不断な私が決める年間ドラマBEST10【2018】

お題「2018年を振り返る」

 

年末の皆さんのツイートを見て勝手な使命感に駆られ、筆を取りました。自分でランキング付けすると記憶が鮮明な作品を上位に選んでしまう恐れがあるので、一人ソートサイトを作り、最終的にロボットに決めてもらいました。ちなみに完走したのは54本。本能の赴くまま、そして何よりも年を越す前に書きあげることを目標に突っ走ります!!!!!!!!年末年始の「お供」の判断材料にでもしていただけると幸いです。

 

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第10位:あなたには帰る家がある(TBS金曜22時/春ドラマ)

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金曜ドラマ 『あなたには帰る家がある』|TBSテレビ

 

昨今の不倫ドラマはもはやファンタジーの一種。過激描写やありえないっつーの!(©︎牧野つくし)的な展開の連続で、さすがの視聴者もヘトヘト。しかしあな家が描くのは不倫のスッタモンダの「その先にあるもの」で、家族の在り方や自分の生き方を改めて考えさせられる作品でした。飽和状態だった不倫ドラマ業界に一石を投じたと言っても過言ではありません。「あなたには帰る家がある」と言いつつ、顔が玉木宏なこと以外取り柄のない男・秀明の帰る家が一向に現れる気配が無いのが見どころ!

 

▼「面白いから見るべき」と第10回目放送直前に書いた記事はこちら(遅い)

asunako-hakusho.hatenablog.com

 

第9位:コンフィデンスマンJP(フジテレビ月曜9時/夏ドラマ)

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コンフィデンスマンJP - フジテレビ 

 

月曜の憂鬱さをも吹っ飛ばしてくれる泥棒3人の痛快コメディー!これぞ月9の看板に相応しく、今後月9をご担当される方々には是非履修していただきたい作品ですね。

 

第7位:女子的生活(NHK金曜22時/冬ドラマ)

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ドラマ10「女子的生活」 | NHKドラマ

 

志尊淳がトランスジェンダーを演じ、話題に。そして本当に志尊淳が素晴らしかった!!放送回数はわずか四回ながら、闘う主人公・ミキの生き様がありありと伝わる作品でした。

平成も終わろうとしている今、ミキが生きる世界は決して優しいものではなく、今でも心無い差別や偏見が溢れています。そこに現れたのが、かつての同級生・後藤(町田啓太)。この後藤が本当に良いやつなんすよ…!!!お前がモテないとか世間がどうかしてるよ!もし下を俯きそうな方がいたら見てほしい。性別立場関係なく、奮闘するミキの姿は頑張るあなたの背中を押してくれます。

 

▼「絶対見てほしい」と放送終了後に書いた記事はこちら(遅い)

asunako-hakusho.hatenablog.com

 

第7位:昭和元禄落語心中(NHK金曜22時/秋ドラマ)

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昭和元禄落語心中 | NHK ドラマ10

 

#勝手にドラマ大賞2018秋(私が毎シーズン行う)でも勝手に作品賞に選ばせていただいた。アニメとは違う形で原作の魅力を引き出した「実写化作品」のまさに理想形。特に山崎育三郎の助六が最高で、どんだけ器用な役者なんだと恐ろしくなった。芝浜での「また夢になるといけねえ」が忘れられません。あと与太郎役の竜星涼がこれまた良いんですわ…!普段トリッキーな役を当てられがちな彼ですが、真っ直ぐな与太郎もとても魅力的でした。

 

第6位:モンテ・クリスト伯(フジテレビ木曜22時/春ドラマ)

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モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐― オフィシャルサイト - フジテレビ

 

とりあえず3話まで見て。

と言いつつ、私は序盤から結構楽しんでいました。世間的には3話まで忍耐ゾーンらしいですが、モンクリは一話からみないとワケワカメなので是非一話から見てください!コンプライアンス何それおいしいの?と言わんばかりの躊躇いの無い復讐劇に毎回唖然、リアタイ時の私はほぼほぼ息を吸えていなかった(体感)。原作が明治時代でしかも外国が舞台だなんてことを忘れるほど、一つの作品として成立しています。高貴の塊・おディーン様を主役に置き、脇をガッチガチのキャストで固めている所がクゥ〜〜憎い!!やらしい!本当やらしい!!(褒めてる)一時間があっという間で、毎週木曜日が楽しみで楽しみで仕方なかった。来週へのワクワク感という連ドラの醍醐味を味わえる作品…ってじゃあ今から見たら醍醐味味わえないじゃんと思う方。こちとら、そんな貴方が羨ましいです。あの拷問のような一週間を体験せずに続きがすぐ見れるんですもん。死ぬほど羨ましいです。

 

▼見てほしいと5.6話放送時点で書いた記事(私にしてはまあまあ早い)

asunako-hakusho.hatenablog.com

 

第5位:アンナチュラル(TBS金曜22時/冬ドラマ

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金曜ドラマ『アンナチュラル』|TBSテレビ

 

「最近のドラマ本当つまんねぇよな」と言う人に、真っ先に見せてやりたい。野木さんの真骨頂はオリジナルにありますね。一話一話にテーマがあり、何処から見ても何度見ても面白い中、若き才能が光りまくった「死の報復(ゲスト:泉澤祐希)」と「殺人遊戯(ゲスト:望月歩)」が個人的な推し回です。脚本・演出は勿論、キャスティングのセンスが抜群!脚本のポテンシャルを余すことなく発揮できるキャストは、あのメンバー以外考えられません。

余談ですが、一月から始まる月9がアンナチュラルと比較されボロクソに叩かれそうで今から勝手に心配してる。

 

第4位:隣の家族は青く見える(フジテレビ木曜22時/冬ドラマ)

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隣の家族は青く見える - フジテレビ

 

私が沼にハマった「ラスト・シンデレラ♡」の脚本家・中谷まゆみさんが描いた今作。となかぞでも、気付けば沼にいました。深キョン×松ケン夫妻の妊活ドラマかと思いきや、現代のあらゆる多様性をテーマにした作品。事実婚、ゲイカップル、そして普通だと思っていた家庭にも悩みがあったのです。

人の幸せを願っている場合じゃないのは百も承知で、それでも願わずにいられなかった深キョン松ケン夫婦の幸せ…!来世は深キョンに生まれたいし、来世は松ケンみたいな旦那さんが欲しい。そしてわたさくフォーエバー…!単純野郎なので、気付けばDISH//のCDが家にあった。

 

▼これも最終回二話くらい前に書いた記事(とても遅い

asunako-hakusho.hatenablog.com

 

第3位:義母と娘のブルース(TBS火曜22時/夏ドラマ)

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火曜ドラマ『義母と娘のブルース』|TBSテレビ

 

この夏の大本命!序盤にナンダコレと思っていたのも束の間、すっかり虜になっていました。枠が同じで契約結婚絡みだからか何かと逃げ恥と比較されがちだけど、ぜんっぜん別物。

綾瀬はるか演じる亜希子さんがこれまた良い人で(ギボムスワールドには基本良い人しか存在しない)、それが作品の心地良さにも繋がった。そして何と言っても 竹  野  内  豊!!!佐藤健井之脇海も良いけれど何と言っても 竹  野  内  豊!!!90年代、ビーチボーイズなどで世間の女子をキャアキャア言わせた彼が平成最後の夏、またもやお茶の間を席巻しようとは…!!ご本人には最低でも120歳くらいまでは長生きしていただきたいし、日本政府はどんな手を使ってでも竹野内豊のクローンを生み出すべき。次の時代で是非お願いします。

 

第2位:透明なゆりかご(NHK金曜22時/夏ドラマ)

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透明なゆりかご | NHK ドラマ10

 

文科省の皆さーん、ここですよ〜!!

自身も発達障害を抱えた見習い看護師のアオイが、町の小さな産婦人科で奮闘する物語。産婦人科ものだと「コウノドリ」が挙げられますが、それとは180度違うアプローチで攻めています。17歳のアオイが立ち会う現場は、中絶・母体死亡・未成年出産と想像を絶するものばかり。民放ではちょっと放送できないかもしれません。目を背けたくなるような重いテーマを扱っていても、透明感と柔らかさがある作品に仕上がったのはひとえに主演・清原果耶ちゃんのお力…!ある種の浄化作用のようなもの(間違いなく特集能力)を持っているんですよね、芝居も良いけどナレーションの威力が凄まじいです。ザ・ノンフィクションのナレーションをした日なんかには、内容に関わらず滝のような涙を流しそう。NHK最大のラッキーは、清原果耶という女優に出会えたこと。次の時代でも語り継がれるべき作品です。

 

第1位:記憶(BSフジ水曜22時/春ドラマ)

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『連続ドラマ「記憶」』|BSフジ

 

贔屓目なしに見ても、どう考えても一番だった。

テレビにも出演するような有名弁護士がアルツハイマー病に侵され、自分の生涯をかけてある事件の真相究明をする物語。一見関係なさそうに見えますが、共通するのは「人としての尊厳」なんですよね。韓国ドラマのリメイクですが、非常に良く出来ていて何でフジテレビは地上波プライムで放送しなかったのか甚だ疑問。全12話で枠からはみ出ようとセンシティブな題材だろうと、地上波プライムで放送すべき。今からでも遅く無いので、来年の秋ドラマらへんで地上波プライム放送してほしい。視聴率20%は間違いなくいくし、ドラマ好き10人に見せたら10人が面白いというであろう変な自信があります。え?私?

 

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勿論作品には出演しておりません!(©️アンジャッシュ渡部)

 

でも大恋愛が話題を掻っ攫っている中で追随するように地上波夕方枠で再放送していた心意気は嫌いじゃないぜ…!

ちなみに私はぎぼむす並みに泣いた。とても良い作品だし、もっと沢山の人に見てほしい作品なので一位にしました。そして万が一フジテレビ関係者の方がいらっしゃいましたら、これを是非とも地上波プライムに持ってきてください。月9でも良いと思いますが「月曜から重い」と言われるのが目に見えているので、木10で大丈夫です。

 

▼入りきらなかったドラマ▼

家政婦のミタゾノ2(テレビ朝日金曜23時/春ドラマ)

おっさんずラブ(テレビ朝日土曜23時/春ドラマ)

・dele(テレビ朝日金曜23時/夏ドラマ)

バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜

(テレビ東京水曜22時/夏ドラマ)

・獣になれない私たち(日本テレビ水曜22時/秋ドラマ)

 

ちなみに11位はdeleでした…!単に好みの問題で、クオリティではTOP3入りします。順番はさておき、どれも質の良い作品だと保証します!

 

▶年末年始の暇を楽しみたい(誰もが楽しめる)

アンナチュラル・ぎぼむす・あな家・コンフィデンスマンJP・ミタゾノ

▶イケメン・美女を見たい(キャラ萌えが強い)

アンナチュラル・となかぞ・コンフィデンスマンJP・おっさんずラブ

▶気合を入れてドラマを見たい

記憶・モンクリ・dele

 

をオススメします!NHK勢のクオリティは素晴らしいけど、年末年始に見る作品ではないな…

 

▼単発ドラマ部門▼

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黒井戸殺し - フジテレビ

 

 

2018年は本当に豊作で「こんな面白いクール二度とこないわ…」と思っていたら、次のクールも面白かった…!が続く、神がかった1年でした。こんなにヒット作が生まれて2019年は大丈夫…?と勝手に心配していますが、素人の無駄な心配で終わることでしょう。

私がドラマをここまで見るようになったのは、仕事からの現実逃避がきっかけです。やるべきことはあって、でもどうしても出来なくて、逃げるようにドラマを見始めました。すると面白いのなんの。この面白さを共有したい~と思い、友達に「昨日のドラマ見た?」と聞きまくったら皆口揃えて「見てない」って言うんです。愕然としましたね。そこで始めたのが明日菜子名義のブログとTwitterです。「今のドラマの面白さを、一人でも多くの人に知ってほしい!」こう見えてあんな記事書いておいて、根底には強い気持ちがあります。

 

2018年は明日菜子な私にとっても、嬉しい一年になりました!一人でも多くの人に伝えたいと思っているので、どんな形であれ沢山の人が見てくださったり、フォロワーや読者の方が増えてくださるのはシンプルにとても嬉しいです!ありがとうございます!

過去の記事を「あちゃー」と思いながら貼りましたが、記事を読んでくださった方々には感謝の言葉しかありません。来年は「あちゃー」と誤字が減るよう精進します!

 

来年もどうぞよろしくお願い致します。皆様にとって、素敵な一年になりますように!

朝ドラ「まんぷく」で始めるトゥラッタッタ♪的朝活のススメ


「朝活」という言葉をご存じだろうか。

 

《「朝活動」の略》始業前の朝の時間を、勉強や趣味などの活動に当てること。

 

毎朝バタバタと過ごす私の中では「朝活=意識が高い人々がする行い」のイメージだった。しかし最近「朝活」がメディアでも取り上げられるようになり、その言葉を見るたびに私のちっぽけな好奇心は膨らんだ。仕事が終われば直帰しドラマを見ながらTwitterで呟く日々を過ごす私も、朝活を始めればキラキラOLに近づくかもしれない…!

 

私は一抹の希望を胸に、朝活を特集していた日経WOMANを手に取った。キラキラした人たちはどんな朝を過ごしているのだろう。

 

 

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気づけば私は日経WOMANを閉じていた。なにこれ神々の行い?

 

神々の真似は出来ないけれど、凡人の私が10月から始めた朝活がある。NHKの朝ドラ「まんぷく」を見ることだ。

 

www.nhk.or.jp

 

まんぷく」は、日清食品ホールディングスの創業者でカップラーメンの生みの親・安藤百福と妻の仁子を題材にしている。ヒロインの福子は安藤サクラ、夫の萬平は長谷川博己何処となくサブカルみを感じる夫婦だ。

朝ドラでは主題歌と語りも重要らしく、毎回キャストと同じくらい話題になる。今作では主題歌・DREAMS COME  TRUE、語り・芦田愛菜コーヒーやメガシャキよりも確実に目が覚める朝の最強コンボだ。特にドリカムが歌う「あなたとトゥラッタッタ♪」は、実家にあった太鼓とホイッスルを鳴らしながら盛大に歌うドラえもんの目覚まし時計を思い出した。

 

「明日から朝ドラ見れるかな…」と謎の緊張に襲われた放送前夜から一か月半。

私の朝活はまだ続いているし、何ならハチャメチャに楽しんでいる。芦田愛菜ちゃんのナレーションも心地いいし、あの陽気な主題歌を聞いても「ドリカムに煽られてる?」と思わなくなった(煽ってはいない)。

恐らくこれだけ楽しめているのは「作品と私の相性が良かったから」に他ならないのだろうが、「まんぷく」は朝ドラ初心者にこそ勧めたい朝ドラだ。

 

「HERO」や「先に生まれただけの僕」を手掛けた福田靖の脚本は今回も明快で、話がすんなりと入ってくる。キャストの芝居は申し分ないほど素晴らしいし、朝から胸を熱くさせる場面も多い。2018年秋ドラマはしっぽりとした雰囲気の作品が多いので、特にTHE王道が好きな方にはぴったりな作品だと思うのだ。話は既に40回を迎えたが、今からでもまだ間に合う。と思う。まだインスタントラーメンのイの字も(即席麺のその字も)出てきてないし、第二の見どころであろう菅田将暉の影すら見えていない…(2018年11月18日時点)

 

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現在の福子と萬平は戦争を乗り越えハンコ屋で一儲けした後、拠点を泉大津に移した。軍の倉庫にあった大量の鉄板と広がる海を見て、萬平は製塩業を思いつく。とにかく人手が欲しいからと部下の神部が勧誘をしまくった結果、萬平は1日にして15人の社員(通称:塩軍団)を抱える社長になった。

一から始めた製塩業が最初から上手くいくはずもなく、福子は親友・ハナの旦那(地主)に資金を借り、社員を食べさせるだけで精一杯だった。やっと出来た塩も萬平の知り合い・世良に騙され、正当な取り分さえ貰えていなかった…のだが、遂に萬平が騙されていたことに気づく!(祝)一方の福子は、「福ちゃんがしっかりしないと会社は潰れてしまうわよ!」とハナに言われ、自分に何が出来るのかと考えている最中だ。ちなみに萬平が騙されるのは今に始まったことではなく、過去にも共同経営者だった加地谷(片岡愛之助)に騙され一度投獄されている。萬平の「食への強い執着」は辛かった獄中生活の中で生まれたものだ。

 

最新話の第42回では、たちばな塩業の塩を世良が闇市で下ろし、萬平たちには内緒で多額の利益を得ていたことが明るみになる。福子は世良を問いただしに大阪の商工定例会へ。そこには世良だけではなく、かつて投獄中の萬平を助けた三田村会長の姿もあった。福子は会長に現在の状況を伝え、萬平がどのような想いで塩作りに取り組むかを話す。その結果、萬平の将来に期待した三田村会長から3万円(約1000万)の投資を受ける棚ぼたサプライズ!幸せは続き、福子のお腹には新しい命が宿っていることもわかった。

 

ちなみに、私が「まんぷく」を見る際には3つのルールがある。これから挑戦してみようと思う方にも是非おススメしたい。

 

  •  毎日必ず一話ずつ見る 

週末にまとめ放送があるものの、15分×6日=90分と考えると民放の二時間ドラマに匹敵するボリュームだ。それを毎週末見ると思うと中々の根気が必要だから毎日見た方がいい、と某バーのマスターに言われ私は日々実践している(受け売り)。

特に「まんぷく」の場合、毎回15分の中に起承転結があり山場もある。一度に見ると山場が小波のように感じてしまうと思うので、某バーのマスターと同じく私自身も「一日一話」をおススメする。

 

  • 空腹で見ない

タイトルで御察しの通り、空腹状態で見るとマジでつらい。

 

  • 番組公式アカウントや、感想・実況アカウントをフォローする 

今作には優秀なTwitterInstagramの公式アカウントがある。出演者のオフショットは勿論、その時代の小話や作品の補足など参考になることも多い。インスタにはダイジェスト漫画もあるので、頭を整理するのには抜群だ。

更に楽しみたい方は、朝ドラクラスタの方々がされるツイートもおススメする。朝ドラと大河ドラマは期間が長いだけあって固定客が多く、民放ドラマよりも層がぶ厚い。公式顔負けの考察ツイートやイラスト・漫画など「#まんぷく」タグの汎用性は多岐にわたり、15分の物語をより深く感じることが出来る。ちなみに私のツイートは朝呟くだけで必死なので、特に見る必要はない。

 

私の朝活が日経WOMANに取り上げられることはないだろうが、「まんぷく」のおかげで朝の時間が格段に楽しくなった。

始まった頃はテレビ前にいることだけで必死だったが、今ではすっかり習慣づき比較的余裕をもって「まんぷく」を迎えられるようにもなった。日曜日の夜も「明日まんぷくがある!」と思うと、憂鬱さが少し緩和される気がする。

1ヶ月半でここまで変わったのだ。この調子でいくと、朝からトゥラッタッタ♪と鼻歌を歌いながらパンケーキを焼く私、なんてのも近い未来にいるかもしれない。

 

日経ウーマン 2018年 8 月号

日経ウーマン 2018年 8 月号

 

 

 

彗星のごとく現れた期待のトンチキ枠「黄昏流星群」※ネタバレしかない

ドラマ実況アカウントをしていて思うのは、「自分が好きな作品と実況映えする作品は必ずしも一致しない」ということだ。例えば、『昭和元禄落語心中』を見るときは画面以外をよそ見する余裕なんてないし、『獣になれない私たち』もまずは物語をストレートに楽しんだ方がいいと思う。そもそも「実況映えする作品」とは、何なのだろう。


私が思うに、「ドラマを見ているだけでは物足りず、作品に何か言わずにはいられなくなるとき」が一つの基準だ。更にこの上に位置づけされるのが「視聴者にツッコミされるために生まれた作品(トンチキ枠)」である。不倫ドラマなど元の設定からアレな作品によく見られ、「奪い愛、冬」や「僕のヤバイ妻」はその枠の代表選手だ。トンチキ枠は、視聴者のツッコミがあってこそ完成するといっても過言ではない。
そのトンチキ枠の中でも私が度々話題に出すのが、テレビ朝日の「明日の君がもっと好き」だ。どんな作品かは未だに私もよくわかってはいないが、作中の様々なぶっ飛び描写が一部で話題になった。最初は文句を言いつつ視聴していたものの、とっちらかった内容が物凄い速度で解決した最終回にはある種の感動を覚えたし、FFの枠を超えてやいのやいの言う土曜の夜は何だかんだで嫌い…じゃな…かった(ちなみに今作はDVD化すらしていない)

 

このトンチキ枠に、今シーズン新規参入してしまった作品がある。フジテレビ木曜22時「黄昏流星群」だ。

 

f:id:asunako_9:20181107154655j:image www.fujitv.co.jp

 

リアルタイムで見たのは三話が初めてだったが、初回から「トンチキ枠」への並々ならぬ才能を感じていた。局も制作陣も役者も違うのに、作中に漂う雰囲気があの「明日の君がもっと好き」を何処となく彷彿させたからだ。一人で見た後に「私何見ているんだろう…」と悶々とした気持ちになるのも、あの明日君以来のことだった(褒めていない)

 

視聴率がおかしいのか私のTLがおかしいのかは不明だが、黄昏流星群TL視聴率は60%~70%くらいあり、木曜日の22時に私のTLに浮上していた人はほとんど黄昏流星群を見ていた気がする。すると後日、

 

「黄昏流星群おもしろいらしいのに見てなくて後悔した…」

 

というツイートをちらほら見かけた。いや違うんだそういうのじゃない。まじでそういうのじゃない。

 

そのツイート一つ一つにリプライを飛ばそうと思ったが、それはそれで怪しいし私が黄昏流星群をゴリ押ししたいのかと思われたら困るので、ブログを書くことにした。黄昏流星群は面白い作品ではない。見ないことを後悔するような作品でもない。

どちらかというと、いや紛れもなく「おかしい」作品なのだ。

1.真面目な作りなのにおかしい

トンチキ枠に該当する作品は、そもそもの装いが他と違う。大体タイトルやメインビジュアルでその独特な雰囲気を感じ取れるものだが、黄昏流星群にはそれがない。
主演は佐々木蔵之介。公式は「人生の岐路にたたずむ男女の切ないラブストーリー」と位置づけし、主題歌は平井堅佐々木蔵之介世代の大人のラブストーリーと聞くと、「最後から二番目の恋」のような作品かと思うがこれが全然違う。ぶっちゃけ「最後から二番目の恋」は見たことないがきっとこういうのじゃない。
 
しかし、作品の骨組み自体は至って真面目だ。キャストもスタッフも大真面目だ。キャストインタビューで栞役の黒木瞳「登場するすべての恋愛の、美しさと切なさをお楽しみ頂けたら嬉しいです」と語っているし、春輝演じる藤井流星「今まではコメディー作品への出演が多く、大人な恋愛ドラマは初めてです」と言っているが黄昏流星群も間違いなくコメディだと思う。
 
しかし、我らが佐々木蔵之介だけは今作の異様な雰囲気に早くも気づいていたようで
 
真璃子も娘の婚約者、日野春輝(藤井流星)と禁断の恋に落ちていくことになるし、娘の美咲(石川恋)もいろいろあって。ストーリーの概要だけ聞くと“ありえないやん、これなに?”ってなるかもしれませんが(笑)。
(公式HPより)

「ありえないやん、これなに?」

 

2.背景があからさまなCGでおかしい

 
黄昏流星群と検索すると、高確率で「合成」や「CG」と出てくる。視聴者を騒然とさせたのはトンチキストーリーではなく、その背景。記念すべき第1話にびっくりするほど雑なCGをぶつけてきたからだ。
 
問題はスイスで起こった。
銀行から突然の出向を命じられ絶望に陥った完治は、家族に黙ってスイスのマッターホルンに向かう。そして運命の女性・栞に出会い、完治は恋におちる。一度は意気投合したものの、気持ちを抑えきれなかった完治の突然のキス(まあまあのホラー映像)に栞は驚き拒絶。朝になると栞は姿を消していた。後悔した完治は、あてもないスイスで彼女を懸命に探す。
 
 
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©️まんぷく

 

3.主要人物がもれなく皆おかしい

 

素人顔負けのCGもさることながら、何だかんだ言ってもこの一言につきる。「セカンドライフに差し掛かった男女の切ない恋」と銘打っているが、大前提として瀧沢家は皆どうかしているということを頭の片隅に置いていただきたい。

 
 

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まずは一家の大黒柱・完治。
仕事一筋の完治は銀行員として恥ずかしくない人生を送ってきた、という設定もつかの間。スイスで栞にフラれ意気消沈するも、出向先の子会社でまさかの栞と再会。四話放送終了段階の今、「出向も悪くないな」とロマンティック恋の花咲く浮かれモード真っ只中である。
その完治を怪しいと疑う妻の真璃子(中山美穂)。娘にも友達にも絶対浮気してるよ!と言われ相手は銀行時代の部下・篠田(本仮屋ユイカ)ではないかと探るが、真璃子も違う男に心惹かれる。相手は娘の婚約者・春輝(藤井流星)!完治の比にならないほどタチが悪い。ミポリンの方が断然悪い。しかも徐々に惹かれるのではなく、割とすぐ好きになる。イケメンだから仕方ないのかとは思うけど、いやそれでも、それでもそこに理性ないのか。ちなみに真璃子のロマンティック恋の花咲く浮かれモード時には中島美嘉が流れ、ハーレークイーンで小説を出せるんじゃないかレベルの妄想が始まる。
 
母娘三角関係の頂点にくる春輝は有能なイケメン弁護士!唯一の欠点はマザコン!…と言いたいが、人様の家に黙って入ってくる癖があるので私としてはそちらの方がヤバイと思う。
 
親子の三角関係ってどこの層が喜ぶんだよと思う程にベストオブいらない設定なのだが、恐ろしいことに今作ではこの誰得三角関係がもう一つ存在する。栞×完治×栞の母だ。もう一度繰り返す。栞の母だ。
 
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栞(黒木瞳)は倉庫会社の食堂で働きつつ、一人で痴呆症を患う母の面倒を見ている。結婚はしておらず、親の介護で自分を犠牲にし続けてきた女性だ。完治との登山デートの時も山には登れず、急に病院から呼び出されてしまった。その時に完治と栞の母が初めて会うわけだが、そこで栞の母のボケが炸裂!完治を自分の夫と思い込み、「あなた〜会いたかったわ〜」と突如色めき出す。ここまでは微笑ましい光景だったが、
 
「ほら〜ここもさすってくれたでしょ!!」
 
と自分の胸に完治の手を無理やり押し付けだす。地獄絵図かと思った。願わくばこの下りは二度と出てこないでほしい。
 
 
父は旅先で出会った女と不倫をし、友達のように仲が良い母は自分の婚約者に恋をして…となると一人娘の美咲(石川恋)が可哀想…!!
 
と思うが、美咲も美咲で何かあるらしい。それが突如判明したのも第四話だった。春輝も「美咲には別に好きな人がいるかもしれない」と漏らしていたし、当の美咲本人も首元のキスマークを見て意味ありげに微笑んでいた。もし美咲まで只ならぬ道に走っていたら万引き家族もドン引きの不倫家族誕生だ。そのキスマークは誰がつけたんだよ美咲!!(ちなみに母はそのキスマークは春輝さんがつけたの…?と悶々とする)
 
この疑惑の真相がひょっこり顔を覗かせたのも、第四話のラストだった。
遂に完治と栞はホテルに向かう。緊張した面持ちでエレベーターを待っていたら、何と中では若い女と初老の男性が熱烈なキスを交わしていた。
 
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人が入ってきたことに気づき、キスを辞めた年の差カップル。しかしよく見ると…その女は自分の一人娘・美咲だった。
 
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まさかの美咲?!隣のジジイ誰だよ!!!そんなジジイこちとら知らねえぞ!!!知らねえぞ!!!!と思っていたら、その相手が誰もが知る適当おじさんこと高田純次だったのだから荒ぶっていた我々Twitter勢も一気に黙る(ちなみに高田純次は脈略もなく初登場)。トレンド検索が「黄昏流星群 CG」から「黄昏流星群 高田純次」に変わった瞬間だった。
そこで美咲も完治との栞の姿に気づき、二度目の地獄絵図で第四話は終わる。第五話ではトンデモ一家+婚約者で旅行に行くらしいが、父娘どんなメンタルで旅行に行くんだよと問いただしたい。というか高田純次はどこから出てきたんだよ!!
 
***
 
以前、このようなマシュマロ(匿名質問)をいただいた。
 

Q.よく話題に出る『明日の君がもっと好き』が気になります。そんなに面白い作品だったのですか?

 
何度も言うが、明日の君がもっと好きも「面白い」ではなく「おかしい」作品だった。あの当時TL上にいた人達に「明日君は見た方がいいか?」と聞けば、大抵の人が「見なくて良い」と答えると思う。このマシュマロを見て爆笑すると同時に、我々のせいでいらぬ弊害を生んでしまったと反省した。
 
では今作はどうだろう。
 
 

Q.黄昏流星群は見た方が良いですか?

 
 
 
見なくていい。
 
 
 
 
見なくていいが、もしこれを読んでいるあなたが木曜日22時にTwitterに来てくださるのならば、私は心の底から歓迎する。
 

私、ガッキーかもしれない 「獣になれない私たち」初回感想

「女の人、すごい格好だなぁって…ブーツかっこいい〜」

 

「…ああいうのってさ、どこにアピールしてんだろうな?」

 

「…どこ?」

 

「あれ好きな男、そうそういなくない?」

 

「…着たい服を、着てるだけなんじゃないの?」

 

 

恋人同士の何気ない会話にしては中々シビアだと思った。いくら田中圭相手だとしても、私もガッキーのように「誰しもが男に好かれたくて服を選んでいるわけじゃない」とやんわり伝えてしまうかもしれない。

 

www.ntv.co.jp

 

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10月に入り、いよいよ秋ドラマが始まった。いつものバーのマスター曰く「夏は皆出かけることを見越して、秋ドラマに各局力を入れるんじゃない?」と言っていたから全国民が夏の思い出作りに行くと思ったら大きな間違いだと思いつつも、秋が来るのを楽しみにしていた。しかし月9のSUITSで少し肩透かしをくらってしまい、火曜の2作はというと輪郭があまり掴めなかった。となると、必然的に水曜日の「獣になれない私たち」への期待値が更に上がった。作品が始まる前から「この脚本家だから絶対面白い」とかドラマ好きにしか伝わらないようなことは言いたくないという変な気持ちがあったから言いたくなかった、言いたくなかったけれど。野木さんの「けもなれ」が面白くなかったら私は今期どうすればいいの…とまで思っていた。何故か少しの緊張感を抱いてドラマを見てみると、やっぱり面白かった。陳腐な表現だけど「さすが野木さん」としか言いようがない初回だった。

 

大天使・ガッキーは、今世ではECサイトを運営する会社で営業アシスタントとして働いている。クラフトビールバー「5tap」が行きつけで恋人は皆大好き田中圭という何ともキラキラな滑り出しかと思いきや、4年も付き合っている恋人にあまり本音は言えず、会社ではパワハラ社長に仕事を押し付けられ無気力の新人や戦力外の営業の尻拭いをさせられ、と心身ともに擦り減っていく日々を過ごしていた。私の周りに大天使ガッキーは勿論いないけど、ガッキー演じる「深海晶」のような人はいる。出来る故に頼られるけど自分自身は人に頼れず、困ってても周りを気にしてニコニコしている人、我慢している人。あそこまでひどい環境ではないし晶のように仕事が出来る人間ではないけれど、私にも思い当たる部分があった。私の中にも晶…ガッキーの部分があるかもしれないし、え、何なら私ガッキーかもしれな(略)

 

晶と出会うのが松田龍平演じる松田龍平、間違えた「根元恒星」だ。と言うのもこの根元という役が、まさに私たちがイメージする松田龍平まんまなのだ。個人事務所で会計士・税理士をしていて、感じが良さそうなのにスイッチが入ると他の追随を許さないほどの毒舌で攻める男・根元。松田龍平の恐ろしい所はどの作品のどの役においても、例えそれが180度違う役柄でも「松田龍平って普段もこんな人なんだろうな…」と見る側に思わせてしまう所だ。カルテットの別府さんの時も「普段の松田龍平って感じだな」と思ったのに、別府さんと全く違う今回の根元という役でも「普段の松田龍平って感じだな」と思ってしまった。実際、松田龍平本人が別府さんと根元の要素を持っていたら中々危ない二重人格だがそれでも思ってしまった。そんな根元は、菊地凛子演じる呉羽と付き合っていてカルテットの菊池亜希子に続き何とオサレな二人だと思いきや開始早々、呉羽は別の人(交際0日)と結婚すると言い出すのだからドッヒャーである。でも菊地凛子なら言いそう。

 

同じ店の常連客、という事くらいしか共通点がない正反対の晶と根元。公式曰く「大人たちのラブ(かもしれない)ストーリー」とのことで、先の展開が中々読めない上にラブストーリーだと思って油断していたらバリバリ社会派な側面も見せる、強烈な第一話だった。

 

放送終了後、様々な感想をTwitterで見た。

中には「想像以上に重い」「キツイ」という意見もあったほど、晶が置かれている環境は初回から堪えるものがあった。「大天使・ガッキーの御顔なだけで人生スーパーイージーモードっしょ!!」と庶民の私は思っていたけれど、ガッキーはガッキーで、美人は美人で大変なのだ。自分がどれだけ努力しようと、周りが変わらないと出口が見えない問題は辛い。しかしそこはあの野木さん。野木さんならどうにかしてくれると思った1話のラストだった。あの1話を見て、辛いと自分のことのように感じた小さなガッキーを抱える人たちにとって、少しでも胸が晴れるような展開になればいいなぁと思う。

 

そう言えば友達に「今度〇〇さんとご飯食べに行こうよ。何曜日がダメとかある?」と聞かれた。我ながらどれだけテレビ見たいんだよと思いつつも、春はモンテ・クリスト伯をリアルタイムで見たいから木曜日以外と言い、この間まではギボムスの為に火曜日以外にしてくれと言っていた。「何曜日でもいいよ、みんなに合わせる!」と言ってしまったけど、やっぱり秋もダメな曜日は言っておこう。そんなことを思った水曜の夜だった。

若き二人の女優が手にした次の一手 映画『累』感想

「アイドル戦国時代」とよく聞くけど、役者の世界の方がよっぽど戦国時代だと思う。ついこの間画面の片隅で「おっ、この子見たことないけど存在感あるな」と思ってあたかも自分が発見したような気分になっていると、大体次々クールの作品で主要キャストの一人になっていたりする。全く終わる気配がしない役者戦国時代の中で、最も競争率が激しいのが「清楚系女優」枠だと思う。

その一因はなんといっても、NHKの朝ドラにある。女優ならば一度は目指すであろう朝ドラヒロイン。私も次生まれ変わるならば、seventeenモデルを経た後に朝ドラに抜擢される永野芽郁ちゃんコースを歩みたいと常々思っていた。しかし、ふと思った。「朝ドラヒロインってむちゃくちゃ大変なのでは…?」

 

民放ドラマより回数が多いとかNHKの看板を背負うのが大変だとか、そんなこたぁ目指した時点で私も覚悟はしている(なった気でいる)朝ドラヒロインに選ばれると同時に脚光を浴び、何ならキャスティングが発表された時点で「国民的清楚系女優」の箔を押されるのだからやむを得まい。放送中はお茶の間から愛され、朝ドラバブルで仕事も増える。「朝ドラ後、初の民放出演作!」とか何とかで民放に行っても特別扱いされることだろう。
しかしいつまでも「朝ドラ出身清楚系女優」を名乗ってもいられない。NHKが次から次へと清楚系女優を発掘していくからだ。私主演の朝ドラより次作の方が話題になることも十分にあり得るし、ヒロインだけでなく脇役にダイヤの原石がいる可能性もある。しかし私の気なんてお構いなしに、NHKは次から次へと若くてフレッシュな女を見つけてくる。半年ごとに若くて可愛い女を確実に連れてくるのだから、そこらへんのチャラ男よりもタチが悪い。自分主演の朝ドラが鳴かず飛ばずのものにでもなれば、心のキャパが1ミクロン程度しかない私は間違いなくNHKを恨む。選んでくれた恩なんて忘れて間違いなく恨む。くそNHK、くそ脚本家!(あくまでも心のキャパが狭すぎる私の場合である)。

 

朝ドラヒロインになってしまったら「朝ドラ出身清楚系女優」の肩書に甘んじることなく、早々に自身の「第二の武器」を見つけなければならない。民放ドラマや映画でブレイクした女優たちとは一味違うプレッシャー。朝ドラヒロインって大変なんだろうなぁ、と思い私は妄想をやめた。何の話がしたいかって、映画を見た話がしたかったんだ。

 

 

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原作を数巻読んだ事がある俄かな私でさえも、キャスティング発表時には愕然とした。「NHK朝ドラ主演を務めた二人が」という煽り文句も一ミリも惹かれないしというか全国民が朝ドラ見てると思わないで欲しいし、漫画の実写化なら山崎賢人か土屋太鳳持って来ればいいだろという安易なキャスティングもやめて欲しい。そんじょそこらのとりあえず実写化したろか的な安っぽい漫画と「累」を一緒にしないでよ!!と、俄かは俄かなりに思っていた。

 

気が変わったのは夏ドラマ「チア☆ダン」を見ていた時だ。また土屋太鳳が主演なのかと思って見始めたが、回を重ねるごとに土屋太鳳という女優の良さが分かってきた。オーラと存在感と、何と言っても華がある。何で主役ばかり…と思っていたけれど、逆に土屋太鳳を端役にすると彼女はきっと主役を食ってしまうのだ。考えてみれば土屋太鳳の作品を真剣に見たのはチア☆ダンが初めてだったかもしれない。もしかしたら「累」の土屋太鳳キャスティング、中々いけるのでは…?そう言えば、W主演をする芳根ちゃんの闇落ち演技も良かった(高嶺の花)。「累」の累・ニナに似てるかはさておき、土屋太鳳の対になる存在が芳根京子というのにはとても合点がいく。え、「累」実写化中々いけるのでは…!!!?

 

 

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幼い頃より自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた女・累(芳根京子)。今は亡き伝説の女優・淵透世を母に持ち、母親譲りの天才的な演技力を持ちながらも、母とは似ても似つかない容姿に周囲からも孤立して生きてきた。そんな彼女に母が唯一遺した1本の口紅。それは、キスした相手の<顔>を奪い取ることが出来る不思議な力を秘めていたー。

(公式HPより抜粋)

 

 

結論:めちゃくちゃにいけた

中々どころかめちゃくちゃにいけた。

 

母・淵透世の昔の知り合いだと名乗る羽生田(浅野忠信)から舞台に誘われた累は、そこで女優・丹沢ニナ(土屋太鳳)に出会う。美しい顔を持つニナだが芝居はまるでダメ、というこの「顔だけは良いから良い役をもらったが演技はまるでダメな女優」の芝居をする土屋太鳳がまず上手い。きっと土屋太鳳自身も同世代のニナのような女優を沢山見てきたのではないかと思う。その後スランプのニナに代わってと累が紹介されるのだが、自分とは似ても似つかない醜い容姿の累にニナは発狂する。「こいつが私の代わり!??」と叫びだし累を激しく罵りだす土屋太鳳がこれまた最高なんだ。

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長いこと胸の内にあった「なぜ土屋太鳳はカマトトぶっている(死語)ように見えるのか問題」に漸く決着がつき、我ながら天晴れだった。もしかして、土屋太鳳の本領はココではないか。台詞も表情も声色さえも、丹沢ニナを構成する全てが「こんな土屋太鳳待っていた!」で溢れていた(ここまで開始10分くらい)

 

ニナは舞台に立てない自分の為、累は憧れていた舞台に立つ為、互いの目的の為に二人は度々キスをして顔を交換する。「醜く暗い芳根京子」「美人で強気な土屋太鳳」だったのが、度々自信家で口が悪い芳根京子や消極的な土屋太鳳になったりする。ざっくり分ければ二人の顔の系統が同じなことも、今作では大きなプラスになっていた。顔だけではなく二人の芝居も呼応しあい、良い意味でどちらがどちらか分からなくなる。二人の女優が重なり合い融合していく様が、まさに「累」という作品そのものだ。

 

その後、(気持ちは)累(だけど姿は土屋太鳳)は演技をする楽しさや舞台に立つ喜びを覚え、「期待の若手美人女優・丹沢ニナ」として世間に名を響き渡らせる。ニナが売れるきっかけとなった「かもめ」を始め、作中の演劇には実際にある作品が使われているのだが何と言ってもサロメ!!今作を見た方は必ずサロメサロメと呟いていて他人から見るとサロメって何ぞや案件だと思う。人気女優となったニナが主演する作品で、今作最大の見せ場こそ「サロメ」だ。

 

ユダヤの王エロドは、自分の兄である前王を殺し妃を奪い今の座に就いた。妃の娘である王女サロメに魅せられて、いやらしい目を彼女に向ける。その視線に堪えられなくなったサロメは、宴の席をはずれて、預言者カナーン(洗礼者ヨハネ)が閉じ込められている井戸に向かう。預言者は不吉な言葉を喚き散らして、妃から嫌がられている。預言者との接触は王により禁じられているのだが、サロメは色仕掛けで見張り番であるシリアの青年に禁を破らせて、預言者を見てしまう。そして彼に恋をするのだが、預言者のほうは彼女の忌まわしい生い立ちをなじるばかりである。愛を拒まれたサロメはヨカナーンに口づけすると誓う。(Wikipediaより引用)

 


「累 -かさね-」【土屋太鳳/劇中ダンス映像「七つのヴェールの踊り」】

(リンク貼りましたが、見に行く方は絶対見ない方がいい)

 

もう本当にこれ最高なんすよ…!

ダンスで培った身体能力と体感を主軸に、23歳とは思えない艶やかさと存在感にただただ圧倒される。天才若手女優となったニナが有名演出家・富士原(村井國夫)の指導により、自分の演技を確固たるものにしていくように、ニナ演じる土屋太鳳自身もサロメの稽古から舞台本番の内に進化していくのだから凄い。

 

 

画面越しではなく天才女優・丹沢ニナの空気を確かに感じたし、何なら私は国立劇場にいるんじゃないかとさえ思った(その10分後にはtohoシネマズ渋谷になっていた)。私は今作を見た昨日からずっと「見てほしい」と呟いているが違う。

味わってほしいんです。「累」という作品が一つの完成形を迎える瞬間を、作品が持つ魅力に応えねばと言わんばかりに切磋琢磨しあった二人が作り上げたあの世界を、是非大きなスクリーンで味わってほしい。 

 

圧巻の112分、物語はAimerが歌う「Black Bird」で幕を引く。この歌を以って、漸く映画『累』は完成する。


Aimer 『Black Bird』MUSIC VIDEO 映画『累-かさね-』(9月7日(金)公開・主演:土屋太鳳×芳根京子)ver.

 

今年の日本アカデミー主演女優賞は「万引き家族」の安藤サクラだろうが個人的には土屋太鳳にあげたい。見返すと太鳳太鳳ばかりいっているが、演技力化け物の土屋太鳳に追いつこうと作中で進化し続けた芳根ちゃんも素晴らしかった。荒削りさは感じるけれど、間違いなく芳根ちゃんの転機となる作品だと思う。

 

twitterを見ていると美人の芳根ちゃんが醜いっていう設定は云々…的な呟きを見るけど、観る前の人がしているネガティヴな呟きを見かける度に私の中の悟空も呟く。

 

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「おめぇ、ま〜だそんなこと言ってんのか」

 

 

土屋太鳳23歳、芳根京子21歳。

一つの当り役に巡り会うのも難しいと思う役者戦国時代で、二人は早々に「第二の武器」を見つけてしまった。2019年は彼女たちを「朝ドラだけ」や「恋愛漫画実写化女優」と揶揄する人も減るだろう。その2019年が来る前に、まずは二人の若手女優の才能を存分に引き出し開花させた映画『累』を一人でも多くの人に味わってほしいと、切に願う。

昔も今も、これからの私も好きになる 映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』感想

私はギリギリ平成生まれだ。自分が高校生の頃「ギャル文化」は若干廃れていたし、ルーズソックスも既に過去の遺物だった。田舎の女子高だったので、奇抜な格好をする同級生は特にいなかったけど「派手な子」はいた。近くに好きな男の子がいるわけでもないし、高確率で見張りの先生がいるから学校帰りに遊びに行くこともない。何よりも先生に怒られてまでオシャレなんてするもんじゃないよなぁ、と派手な子たちが注意される度にそう思っていた。

 

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私の高校時代より5~10歳上の方々にドンピシャであろうこの作品。物語は安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES 」から始まる。

 

***

何不自由ない暮らしをしている専業主婦の奈美(篠原涼子)は、いつも通り家族と朝食をとっていた。テレビでは安室奈美恵のニュースが流れていた。奈美は勿論、あの頃の女子高生はみんな安室ちゃんに憧れていた時代。奈美は過去の映像を見ながら、ふと自分の高校時代を懐かしんでいた。
ある日、怪我をした母のお見舞いに行くと別の病室から奇声が聞こえる。部屋を覗いてみると、医師や看護師に押さえつけられている女性の姿。病室の名札には見覚えがあった。奈美の高校時代の同級生・芹香(板谷由夏)が入院していたのだ。
芹香はグループのリーダー的存在で、現在は複数の会社を経営する女社長になっていた。しかし彼女は末期の癌で、余命もわずかだと言う。

 

「最後にSUNNYの皆に会いたい」

 

芹香の最後の願いを叶えるべく、奈美は高校時代の仲間・SUNNYのメンバーを集めることに奔走する。

***

 

韓国のリメイク作品だが、今作では90年代の日本が大きなテーマになっている。私のようにドンピシャではない世代の人も大丈夫。「90年代とかあんまり知らないんですけど…」というヤングたちも、久保田利伸LA・LA・LA LOVE SONGに乗って90年代の世界へと一気に連れていかれるから無問題。

しかし今をときめきまくっている広瀬すずを始め、メインキャストのJK時代を演じる女優は皆二十歳そこそこ。何なら渡辺直美のJK時代を演じた富田望生は18歳なので生まれてすらいない。でもスクリーンの中には、確かに「90年代版」の広瀬すず山本舞香が存在していた。ルーズソックスに憧れるもすぐに買えないからと自分のソックスを伸ばしてはく広瀬すず、細眉に少し焼けた肌の山本舞香。彼女たちだけではなく、街の雰囲気も流れる音楽もロン毛姿が妙にやらしい三浦春馬も、出てくる人・モノ全てがMADE IN 90年代なのだ。

 

90年代のギャル達は無敵だった。援助交際を持ち掛けるリーマンを返り討ちにしたり、時にはテレクラで小遣い稼ぎをしたりとギリギリな事をする割に、自分達が「ダサい」と思うことには一切手を出さねぇ!という強いポリシーがあった。「良い・悪い」ではなく「カッケェ・ダセェ」で物事の善悪を決める姿は非常にクールだと思う。

山本舞香演じるJK時代の芹香がまさに生粋のギャルで、これまたはちゃめちゃにカッケェのだカースト表のあの三角のほぼ頂点にいる存在なのにも関わらず、気さくで仲間思い。田舎から転校してきた奈美(広瀬すず)を自分のグループに誘ったのも芹香である。チアダンで山本舞香のことを気になった方は、ほぼ100%の確率でSUNNYの山本舞香を好きになる、と言うか好きにならざるを得ない。

その芹香の対極にいるのが、池田エライザ演じる奈々。ギャルのバイブル雑誌「egg」のモデルで(eggという名前が懐かしすぎて涙出る)どこかミステリアスな存在だ。奈々は90年代のギャル、というよりギャルの格好をした池田エライザなのだけど画面に映るエライザがいちいち美しかった。いつ何時の表情を抜かれても、美・美・美!!同級生にいたら絶対お近づきになりたいし、来世人間に生まれてくるなら池田エライザの顔面になりますように、と食い入るようにスクリーンを見た。ちなみに、SUNNYのメンバー探しで最後まで難航するのが奈々。なぜ奈々と連絡が取れなくなってしまったのか、そちらも物語の鍵となる重要なエピソードだ。ついでに言うと、SUNNYのメンバーで一番最初に連絡が取れるのはお察しの通り梅(渡辺直美)である。秒で連絡が取れる。

この二人を始め、JK時代のキャスト達に大人版キャストの面影を何処となく感じるのも面白い。豪華なだけでなく、この個性的なキャストを率いるのが篠原涼子広瀬すずなのも今作のセンスを感じる。ちなみに大人版でいうと、演技では小池栄子に注目しがちだが油断しているとともさかりえに度肝を抜かれる。全力で観客の度肝を抜いてくる。あと鰤谷…大人版関係ないけど鰤谷…!お前は絶対幸せになれ…!

 

大人版・奈美(篠原涼子)はSUNNYのメンバーを集めるにつれ、皆が昔のように必ずしも楽しいだけの人生を送っていないことを知る。そして時間の経過とともに進む、芹香の病い。果たしてSUNNYのメンバー全員で再び集合できるのか。

懐かしさと少しの切なさを感じる90年代の香りと共に、出演しているキャストを更に好きになる作品だった。知っている人はより好きに、知らなかった人も好きになる。予告やキャッチでは「青春と再会する」だの「愛に満ちた青春ムービー」だの、青春が前面にプッシュされがちだが、今作は青春時代の尊さだけでなく年齢を重ねる楽しさも教えてくれる。それはJK時代に負けず劣らず、大人時代のSUNNYのメンバーも最高にパワフルで最高に格好良く描かれているからだと思う。今青春真っただ中の学生は勿論、青春時代を通り過ぎた我々大人にもエールを送ってくれる華やかな作品だ。

  

最初に言った通り、私のJK時代はSUNNYのメンバーのように決してド派手ではなかった。けれど私は私で満足している。

しかしエンドロールが流れる中、小沢健二の「強い気持ち・強い愛」を聞きながら猛烈に思ったことがある。

 


「SUNNY 強い気持ち・強い愛」全曲メドレーPV

 

私、生まれ変わったらギャルになりたい…っ