あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

最終回目前!今からでもわかる「あな家」のあらすじを書いてみた

 

asunako-hakusho.hatenablog.com

 


私は頭を抱えていた。
前回「モンテ・クリスト伯」をより多くの人に見てほしいが為に記事を書いたのはいいが、ネタバレになってしまう故に内容についてはあまり書くことが出来なかった。結局私があの記事で伝えられた事は、おディーン様の新曲「Echo」がものすごく良い曲だということだけだったのではないか。

こんな私でも作品自体の良さを伝えられる面白いドラマが、他にあるんじゃないか。そう考えた。あった。

 

 

あなたには帰る家がある(TBS金曜10時)

www.tbs.co.jp

 


前回書いた「モンテ・クリスト伯」に負けず劣らずの面白さがある「あなたには帰る家がある(通称:あな家)」もしあまりドラマを見ていない人に今期のオススメを聞かれたら、私はまずこの作品を挙げるようにしている。

もう何番煎じだと言われようが「不倫」という題材は人を夢中にさせる要素があるし、脚本のテンポも良い。役者のお芝居もそれはそれは見事だし、普段あまりドラマを見ない人でも見やすい作品だからだ。見た人によって受ける印象が違う「体感型ドラマ」な点も面白い。

 

しかしそうは言えど、現段階で既に9話まで放送済み…何なら今日は10話だ(書くのが遅い)

面白そうだけど今からついていけるはずがない…という方に向けて、僭越ながらこれさえ読めばバッチリ的な勢いのあらすじを書かせていただこうと思う。

 

あらすじ

 

 

玉木宏木村多江が不倫する

 

 

 

 

以上!

 

 

 

 

おいおいこんなんでわかるわけねえだろと思った方々。大丈夫。「あな家」はこれさえ押さえておけばついていける。

あらすじもスーパーウルトラ簡素だが、登場人物も押さえておくのは一先ず4人だけでいい。

 

主要人物

佐藤真弓(42/中谷美紀)

旅行代理店「ラクタビドットコム」に勤めていたが、妊娠・結婚を機に退職して結婚13年目の専業主婦。家事は適当でガサツだが、弱音は吐かないなど強気なところがある。(Wikipediaより)

 

今作の主人公。四人の中で唯一の常識人とも言える。

 

浮世離れした美しさを持つ永遠の綺麗なお姉さん・中谷美紀が中学生の母親役なんて…と始めは思っていたし何なら1、2話までそう思っていたけれど、今ではすっかりハマリ役。テレビ前で我々が「ハァ??」と思うことは、大体彼女が代弁してくれる。真弓の言葉にテレビ前でついつい「わかるわ…」と言っちゃう人も多いだろう。


ちなみに、多くの人の心に刺さる真弓の台詞の中で私が一番好きなのは、朝から家に乗り込んできた不倫相手(木村多江)に向かって言った「あんた頭おかしいよ」頭おかしい奴が目の前にいたら言ってみたいですね。



佐藤秀明(39/玉木宏

 住宅販売会社「渚ホームズ」勤務。几帳面で細かいことを気にする性格。映画とメンチカツが好き。(Wikipediaより)

 

バカ。

本当にバカ。ロマンチストバカ。玉木宏の顔をしたバカ。

 

 

担当している客の奥さん(木村多江)に手を出すという最低な行為を犯してから地獄まっしぐら。バレてからは猛省し家族再生の為に復縁に挑むが、何と言っても詰めが甘い。バカだから詰めが甘い。

玉木宏なのに全く格好良くない役柄だが、玉木宏だからこそ個人的には憎むに憎み切れない罪な男である。ちなみに「あなたには帰る家がある」という表題だが9話時点で秀明が帰る家はなく、小さなアパートを借りている。

 

 

那須田太郎(47/ユースケ・サンタマリア)

早瀬中学校の国語科の教師。二世帯住宅に建て直そうと、夫婦で秀明の会社のモデルハウスを訪れる。(Wikipediaより) 

 

屑。

 

世の中の嫌な奴を一つに集めたら、茄子田という男になるんじゃないかと思う。

「価値観が古代時代くらいで止まっているのでは…?」と疑うほどの男尊女卑思想。亭主関白で横暴、更にドン引きな点が妻に夜生活を強要しているということだ。ど、どんだけ〜。セクハラ・パワハラモラハラとハラハラハラ!ハラスメントと辞書で引いたら、意味の所に茄子田と記載しても良いレベル。

 

ポイントは茄子田の職業が「教師」だということ。恐らく彼が一社会人として会社という組織に所属していたならば、こんな類のモンスターは誕生していなかったのではないだろうか。ちなみに、茄子田の学校の修学旅行を担当しているのが真弓。真弓にとっても秀明にとっても、茄子田は「大切なお客様」なので尚更つけあがっていると言う訳だ。


そんなモンスター・茄子田だが、後半からは妻・綾子へのどうしようもない愛情や、意外に可愛げがある奴だという事が判明する。可愛げがあると言っても毛が生えた程度で実際は1ミリも可愛くはないけれど、茄子田が改心する日は来るのだろうか(そして十話を見て土下座する私)

 

 

茄子田綾子(43/木村多江)

家庭的で料理上手な美人。「家庭を壊すつもりはない」と言いながら、秀明の携帯に頻繁に電話をしてくる。秀明が自分を拒絶するのは真弓のせいだと思っていて、秀明にしつこく付き纏う。(Wikipediaより) 

 

 

化け物。

申し訳ないが化け物。

 

大雑把な真弓と対比する存在なのが綾子。中谷美紀の対抗馬として木村多江を持ってくるところに抜群のセンスを感じる。

主婦として家事に従事し「良妻賢母」を絵に描いたような人物として描かれていたが、時にはその女性らしさが暴走し、我々の予想の遥か斜め上を行く事も多々あり茶の間に爆笑を巻き起こす。

例えばBBQで手作りソースを用意したり、お手製のメンチカツを真弓の職場に差し入れしたり、ケジメをつけようとした秀明が綾子を呼び出した際にはピクニックのお誘いと勘違いしたのか、トルティーヤを作ってきた(さすがの秀明もこんなものをクルクル巻いている場合じゃないと言っている)こんな厄介な女に引っかかるバカなんているのか。いた(佐藤秀明に戻る)


先述した通り、後半では朝7時から佐藤家に乗り込み佐藤家の娘(麗奈)の前で「貴方のお父さんと私、とても愛し合ったの!」と叫び出したり、秀明の新居に行った際に勝手に合鍵を持ち出し不法侵入するなど暴走っぷりが加速してきた綾子。なんなら犯罪だ。

9話では自分の母親が危篤状態にも関わらず「秀明さんが実家に送ってくれたら母に会う」と駄々をこねていて本当にどうしようもない女だと思った。絶対近くにいてほしくない。

このどうしようもない女は過去に一癖あるらしく、10話では綾子の生い立ちが明らかになる。

 

 

「不倫」の先にあるもの

 

題材は不倫だが、このドラマの本質はそこではない。

現に2・3話で秀明の不倫は早々に発覚するし、中盤で真弓と秀明は離婚する。不倫はあくまでもきっかけに過ぎず、その後の家族の物語を描いている。


今作は随所に出てくる「男女での考え方の相違」が面白い。

 

例えば佐藤家の場合。
お互いを「パパ」「ママ」と呼び合い、ベッドこそ同じもののそういった生活は一切無かった。秀明はともかく、女と見られていないと自覚した真弓は危機を感じ、冒頭では普段の立ち振る舞いや家事などを努力するシーンがあった。「大事な家族」ということに意識に変わりはない二人だが、少なからずも真弓には秀明に対して未だそういう気持ちがあったのだ。

 

そこに現れたのが「綾子」。自分の妻にはない綾子の色気や女らしさに、バカで単純でロマンチシズムな秀明はまんまと恋に落ちていった。家族を壊したかったわけではない。綾子と恋をすることも家庭円満の秘訣だと考えていた秀明なバカ。あ、違うバカな秀明。

 

しかし真弓より年上の綾子に、なぜ未だ女としての「現役感」があるのだろうか。

それは40を超えても母となっても尚、綾子は「女」として扱われているからだと思う。しかも一番近い異性である夫から。

皮肉にも秀明が惹かれた綾子の女らしさの理由は茄子田にあり、逆を言えば年々表面化する真弓の女らしさの欠如は秀明にも一因があるということだ。

 

不倫発覚後も二人のすれ違いは続く。

秀明は自分の行いを反省し、家族の為に良い夫になろうとバカはバカなりに涙ぐましい努力をしていた。真弓は真弓で中学生の娘を思い、このまま秀明と家族を続け馬車馬のごとくコキ使うのも悪くないな!と思っていたが、ある事を機に離婚を決意。どんな形になっても真弓と「家族」でいることを選んだ秀明に対し、真弓は秀明と「夫婦」でいることに限界を感じた。家族でいることや娘の大切さよりも、かつて愛した秀明への悲しみの方が勝ってしまったのだ。

 

「悔しいけど、私って自分で思ってたよりずっとパパのこと好きだったんだなって」

「だからパパ、私傷ついたよ。すごく傷ついた」

 

怒るのではなく涙をこぼしながら秀明に思いを打ち明ける真弓。秀明は真弓を抱きしめて謝るも、二人が戻ることはなかった。真弓と秀明、二人の考えの違いが顕著に現れたシーンだったと思う。

 

「あな家」のエキセントリックさは言わばファンタジーかもしれないが、登場人物の感情描写は緻密で非常にリアリティがある。山本文緒氏の原作の力も勿論だが、ドラマ制作前に100人以上の女性の意見をヒアリングしたらしく、それがかなり効いている。

原作とは登場人物の年齢や結末も全く違うそうで、特に今作の綾子の暴走っぷりはドラマ版の方が凄いとか。原作を読んだ方でも一味違った展開を楽しめるドラマに仕上がっている。

 

この広げに広げまくった話、果たしてあと二話で終わるのだろうか…?!と思いつつ、すっかり毎週金曜日が楽しみになった。個人的には有名な祈祷師とかを雇って、綾子を祓わない限り佐藤家に幸せは訪れない気がす(綾子は怨霊ではない)しかしもう真弓と秀明の力、いや人類の力で彼女を止めることは不可能じゃないだろうか。

 

最終回まで残り二話、なんなら本日10話放送!「あな家」ならではの癖のあるエキセントリックな結末を期待したい。superflyと共に「♫地獄へ落ちてゆけ〜!!!」 という準備は既に出来ている。

 

 

 

 

「モンテ・クリスト伯」の視聴率が低すぎるのTell me why?

「花晴れ」と「あなたには帰る家がある」しか見ていないという会社の先輩に「今期で何が面白い?」と聞かれ、モンテ・クリスト伯と答えた。

すると先輩に「ディーンは演技も顔も良いけど歌がダメだから見てない。というか俳優が歌を歌うのに抵抗がある…」と言われたので、ついカッとなり「むしろ顔と歌がいいじゃないですか!!!!」と机ドンをしてしまった。ファンか。いやファンなのかも…

 

モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐(フジテレビ木10)

おディーン様のファンの方が見てくださっていたら、冒頭からごめんなさい。

 

なぜ今回モンテ・クリスト伯(以下:モンクリ)のことを書こうと思ったかというと、面白さと視聴率がまったくと言っていいほどに比例していないから。

あれ、これ前クールもその前も言ったような…。そう。何と恐ろしいことに、前クールの「となかぞ」「刑事ゆがみ」と全く同じ現象がこの「モンクリ」でも起こっている。

2018年春から視聴率の測定方法が変わり、今まで日の目を見なかった作品たちが遂に報われる時代が来たと思っていたが全く変わらなかった。

 

こんんなに面白いのに…?

 

私のTLではこんんなにも毎回盛り上がっているのに…?ell me why so why sowHHHHHHHHYYYYYYY!!!!???

というわけで私のTLでは視聴率80%といっても過言ではないモンテ・クリスト伯」の魅力を、まだ見ていない方々に向けてこのままのテンションで三つお伝えする。もうオチが見えているけど気にしない。

 

 モンクリの魅力①神が采配したのかと思うほどの隙の無いキャスティング

テレビドラマの低視聴率の原因の一つに「役者嫌い」というものが考えられる。例えばモンクリの場合、名指しで大変申し訳ないが「ディーンだし…」「ジャニーズだし…」で避けている方もいるのではないだろうか。

 

主演のおディーン様は、まさに賛否両論ある役者だ。

朝ドラで旋風を起こして以来、数々の話題作に引っ張りだこ。沢山ファンもいる反面、そうでない人もいるだろう。まあこれはスターが背負う一種の宿命みたいなものなのだけれど…まさにそれがおディーン様だ。

 

しかし彼は役にあたると、ドドドドドハマりする役者なのだと声を大にして言いたい。どハマりじゃない、ドドドドドどハマり。

  

五代様以来、ドラマでおディーン様の良さを発揮できていた作品は少なかったように思う。個人的に言うとTBSのIQ246くらいで、もし私がおディーン様のマネージャーならば少なくとも「イマキョー」は絶対に断っている(ちなみに坂道のアポロンのおディーン様は最高)

  しかし今回の「柴門暖」ならびに「モンテ・クリスト・真海」という役…これがまさに、おディーン様にドドドドドはまりの役なのだ。ちなみに、今作で登場する「柴門暖」と「モンテ・クリスト・真海」は同一人物である。

 

元々おディーン様は「柴門暖」という青年だった。
守尾漁業という水産会社に勤め、海と仲間と山本美月を愛する柴門暖。それが一変、知人たちから謂れのない罪を着せられ投獄される。そこから見事な脱獄を果たし、10数年の月日を経て生まれ変わった姿こそが「モンテ・クリスト・真海」なのだ。何を言っているかわからないかもしれないけど、それがモンテ・クリスト・真海なのだ。

モンテ・クリスト・真海って何だよと鼻で笑っていても、いざ、おディーン様に微笑みながら「どうも、モンテ・クリスト・真海です」と言われたらなんか納得してしまいそうだし、ん?と思いつつも、「へーこの人、モンテクリスト真海さんって言うんだ〜」と思ってしまうだろう。このモンテ・クリスト・真海という少々トンチキな名前もさらっと着こなすのがおディーン様。今の日本でこの名前がしっくり来るのは、おディーン様かクリス・ペプラー氏くらいしか思いつかない。

 
真海はある人物から莫大な財産を受け継ぎ、それを元手に投資家として大成功をおさめた。気品溢れるおディーン様のお顔立ちは「桁違いの財産を持った謎の投資家」という浮世離れした設定にも負けずにピタッとフィット。今となってはあの独特な台詞回しも、金持ちならではの「余裕」や「凄み」を感じさせる。

 

十数年の投獄生活で真海が得たものは、莫大な財産だけではない。豊富な知識と屈強な精神も手に入れた。今作のモンテクリスト伯は英語や日本語をはじめ、なんと4ヶ国語を話すというマルチリンガルっぷり。やはり「英語など多国語を流暢に話せる」という条件だけで考えてみても、この役ができるのはおディーン様し…いやクリス・ペプラーも話せるな!!?

 

冗談はさておき。

 

彼の運命が変わる銀行でのシーン。名前を聞かれた際に「柴門暖」でも「モンテクリスト」でもなく「Monte Cristo」と答えるおディーン様は最高にCOOLだった。是非見てほしい。このシーンの為におディーン様をキャスティングしたのでは、というくらい印象的な場面だ。

冷酷な笑みを浮かべ裏切られた知り合い達を掌で転がしつつも、且つての恋人だったすみれ(山本美月)の前ではその氷のような表情が解け、切なく歪むおディーン様のギャップも良い。とにかくおディーン様のハマリ役だ。

 

そんなおディーン様を支える役者陣はというと、豪華なことは勿論だがどちらかというとかなりの技巧派が揃っている。

先ほど「ジャニーズは…」と書いたが、今作に出演している関ジャニ∞の大倉くんは全くソレを感じさせない。暖を欺いた一人・人気俳優の南条幸男を演じているが、少し影のあるスターっぷりがとても板に付いてる。圧倒的な正統派ヒロイン・山本美月も可愛い。

他にも高橋克典新井浩文稲森いずみ山口紗弥加伊武雅刀田中泯まって何なんだこの隙の無さ!!

 

囲まれたら窒息してしまいそうなほど隙が無いキャスティング。サザエさんで言うと、サザエさん一人に対して5.6人フネさんがいる感じ。マスオの入る余地などない。

そのガッチガチの中堅・大御所の中に入ってきた若手が、高杉真宙葉山奨之岸井ゆきのって嗚呼、もう何つういやらしさ…!(褒めてる)そこにひょっと現れた桜井ユキも、我々に強烈なインパクトを残した。一人いるだけで心強いフネさんがまさかの複数人いて、それぞれが匠の仕事をしている作品…それが「モンテ・クリスト伯」。食わず嫌い見ず嫌いだった方も、まずはチャンネルを変えてみていただきたい。フネさん達にすごい勢いで引きずり込まれます。

 

モンクリの魅力②急転直下の怒涛の展開が凄まじい!

 今作は所謂「復讐モノ」だが、その復讐が過去見ないほどにエグい

原作読破をした方々の「ドラマの方がえげつない」というツイートもよく見かけるし、私も今作を見ている時にうまく息ができていないんじゃないかと思うほどに毎回息苦しい。毎度毎度後半からの盛り上がりは特に異常で、物凄いスピード感で容赦なく我々視聴者を打ちのめした後、更にとんでもない次回予告が入り毎回放心状態。そう、この作品全くと言っていいほど「躊躇い」がないのだ。

 

 

これは6話を見ていた時の私の実況ツイートだが、恐らくこの呟きの間約五分間、私はツイートどころか息をしていない。息を吸うのを忘れていたような気がする。

しかし怖いもの見たさで毎回指の隙間からマジマジと見てしまうような面白さがあるのがモンクリなのだ。

 

1を言ったら100のネタバレになってしまうのと、おディーン様の下りで熱くなりすぎた故に詳しい内容は控えるが、モンクリは次回予告の出し方も最高にいやらしい(褒めている)正確にいうとラスト5分から次回予告の流れが完璧すぎて、来週も見なくては!早く見たい!という衝動に駆られるどころか、明日大好きな花金だけど、この続きがすぐ見れるならば一層のこと明日も木曜日でいいのではないかという気持ちにさえなる。

 

「次回予告を見て来週が待ち遠しくなる」というのは、連続ドラマならではの醍醐味であり特権。普段一話完結ものを好んでみるという方にも、是非「モンクリ」でこの気持ちを味わってほしい。

モンクリの魅力③主題歌が良い!!!!!!

声を大にして言いたい。曲がいい!!!!!!!!!!!!!!!

 かねてから、私はおディーン様の歌が好きだった。2017年秋ドラマで「今からあなたを脅迫します」というおディーン様主演の作品があったのだが、これがまた何とも言えないほどのどチープ作品だった。しかしその中で、おディーン様の歌う主題歌「Let it snow!」だけは輝いており、紛れもない名曲だと声を大にして叫びたい(♪なぜ~~雪~をみ~ると)

だがそんな名曲「Let it snow!」を、今作の主題歌「Echo」は超えた。優に超えた。

一話で聞いた時から衝撃が走った。二話からはもう口ずさんでいた。あっ、こんなことを書いt…ell me why so why sowHHHHHHHHYYYYYYY~~~~~~~!!

ちなみに青木カレンさんが歌うメインテーマ「set a fire」も作品の空気にドンピシャ。あれずっとサーテファーイって言ってると思ったら「set a fire」なんですね。

 

そんなわけで始まる前は全くといっていいほどノーマークだった「モンテ・クリスト伯」。「ああ、またおディーン様が無理難題な作品をふられて低視聴率云々言われるに違いない」と思っていたけれど、見ごたえバッチリ、役者のポテンシャルを余すことなく活かしている今期の名作でした。

毎週楽しみにしているし、モンクリのことを考えているtell me why so why sowHHHHHHHHYYYYYYY~~~~~~~!!

 

頭の中でおディーン様の曲が流れるんです。どハマりしているんです、ええ。

そんな私もきっと、モンテ・クリスト・真海さん並びにおディーン様の掌で、転がされている内の一人なのかもしれない。

 

Echo 初回盤A

Echo 初回盤A

 

2018年春ドラマ一言感想

2018年春ドラマが始まり、もう一ヶ月。

毎期毎期書こうと思っていて書けなかったので、今期こそは…!!!

いつもより更にくだけています(敬称略です、すみません)

 

記載している作品以外は未視聴ですので、ご了承ください。

オススメ度も書いてみました。あくまでも今期の中で比較してます。(MAXは星5)

 

1:コンフィデンスマンJP(フジ月9)

オススメ度:★★★★★

 

長澤まさみ×東出昌大×小日向文世の痛快詐欺師コメディー。不二子ちゃん主役のルパン三世みたい。

初回が30分拡大で少しモタつきを感じてしまったのだけど、二話以降の面白さが異常。ジェットコースターのようなスピード感で、疑問に思わず作品に身を委ねることが出来たら、非常に楽しい時間を過ごせる。古沢良太ならではのウィットに溢れた言葉選びも秀逸。

この御三方の為に書かれたようなハマり具合で、今作は御三方の代表作の一つになる気がする。東出くんは間違いない。

 

2.シグナル(フジ火曜9)

オススメ度:★★★★☆

 

韓国ドラマを坂口健太郎主演でリメイク。未解決事件を、過去とやり取りができるトランシーバーを使って解決に導く。

前クールが同じようなテイスト(亀主演のファイナルカット)だったのに何故今回も似たような作品を…!(身内が冤罪で命を絶った主人公)と思っていたけど、前枠とは全く違う骨太な事件モノ。

原作の韓国ドラマが実際にあった未解決事件を題材にしてる為か、メッセージ性も強い。

昨今の刑事モノでは珍しく、一話完結ではなく連続モノなので集中力を要する。現に、暇さえあればドラマを見まくっている私は一度では理解できず二、三回繰り返し見ている(作品自体がわからないということではなく、集中力と記憶力がない)

 ちなみに主役の坂口健太郎は刑事だけど、プロファイリング専門。実際に行動を起こすのは、過去の時間軸に生きる北村一輝。坂口健太郎北村一輝への扱いが中々雑なので、もっと優しくしてあげてほしい。

 

3:花のち晴れ(TBS火曜10)

オススメ度:★★★★☆

 

みんな大好き「花より男子」の続編実写化。

どうしても前作が頭をよぎるし、前作のキャラクター(F4)も出演しちゃうもんだから、どう足掻いても前作と比べちゃうのだけど…それは原作通りなのではないかと。

イジメの問題など、少し時代錯誤感はあれど、花男イズムの面白さは2018年でも健在だと感じた。

 

井上真央ちゃんの後継者が杉咲花ちゃんというチョイスは大正解だと思うし、花ちゃんの婚約者・馳天馬を演じる中川大志くんも非常に良い。二人の共演は、夜行観覧車大好き人間としては嬉しいばかり。

私的なことですが、わたくしジャニヲタという人種なので神楽木役の平野紫耀くんの演技も見慣れていまして…。始まる前まではこの二人に肩を並べるなんて大丈夫?!と思っていたけど、今では良いじゃん?!!と思っているくらいなのですが…どうなのでしょう。むしろ聞きたい。

 個人的にはコレクト5の活躍がもっと見たい。というか、何で4人じゃなく5人になったのか、その存在意義を知りたい。今の所コレクト3というか、コレクト1でも良くないか…?(おそらく良くない)

今後、更に面白くなるんじゃないかという期待を込めての★4。宇多田ヒカルの挿入のタイミングは見直してほしい。

 

4.正義のセ(日テレ水10)

オススメ度:★☆☆☆☆

 

阿川佐和子の原作を吉高由里子で実写化。恋に仕事に生きる、新米検事のお仕事ドラマ。

いやー。日テレのこの枠ってダークな作品とライトというかチープな作品が入り乱れる枠なのはわかってはいるのだけど。だけど、今作は完全に後者。

 

事件のトリックが単純すぎて「こういうのどこかで見たな…」というのが毎回。99.9のように現場に証拠を取りに行くというのが吉高由里子のモットーなのだが、なぜ、なぜ99.9の次のクールでこの作品を持ってきてしまったんだ…!と言うくらい骨組みがチープ。

そして毎回というわけでは無いらしいけど、真実が判明する直前に何故か吉高由里子が事件現場にタイムスリップというかワープというか…その事件現場での記憶に入り込めるという特殊能力を発揮する。お前は何を言ってるんだと思うかもしれないし私も何を言っているのかわからないが、兎に角、吉高由里子の特殊能力が物語終盤に発揮される。

 

個人的に、お仕事ドラマならば緻密さが欲しいし、本当に特殊能力を持っている設定の特殊能力ドラマならばそれを全面に押し出してほしい。

女子力全開の吉高由里子というのも個人的にはミスマッチ。ツッコミどころは満載。

 

5.モンテ・クリスト伯(フジ木10)

オススメ度:★★★★☆

 

おディーン様による「巌窟王」の現代ドラマリメイク版。

初回から面白いと思っていた作品の一つ。原作を全く知らないので初見で楽しく見ることができる。原作をご存知の方にはツッコミどころが多い作品なのかも。

座長のおディーン様は相変わらず癖が強いのだけど、キャスティングするならばやはりおディーン様しかいないのでは…?!と毎回感じる。

大倉くん始め、脇を固める役者のセンスが絶妙。木10ならではの影がある作品の撮り方も良い。ツッコミしつつ次も見なくては…!という気持ちに毎回駆られる。

そしてこれ言うの何回目だよという感じだけど、おディーン様の曲が良い。

 

6.ラブリラン(日テレ木深夜)

オススメ度:★☆☆☆☆

 

日テレのライト枠。30年間彼氏無しの中村アンが記憶喪失に…気づいたら三ヶ月の時が経っており、自分の風貌も180度変わり何と会社の後輩と同棲していた…!という話。漫画実写化。

 

中村アンといえば、今や毎期必ず何かの作品で見るのではと思う程の人気女優。

何でも出来るイメージだったけど、個人的には、主役よりはバイプレイヤー…というか…飛び道具的な立ち位置の方が、彼女の良さが伝わるなぁと感じた作品。

古川雄輝くんが好きならば見たほうが良い。深夜に緩く見られるラブコメだけど、特にオススメしたいほどの要素は無い。古川雄輝くんは格好いい。主題歌が合っていない。

 

7:あなたには帰る家がある(TBS金10)

オススメ度:★★★★☆

 

山本文緒氏の小説の実写化。

一言で言うと不倫モノ。何番煎じなんだよ…!と侮るなかれ。男と女の生き方、家族のあり方を考えさせられる作品。

 

何と言ってもメイン4人(中谷美紀玉木宏ユースケ・サンタマリア木村多江)がうんんんんんんまい。非常にあっている。

綺麗なお姉さん代表の中谷美紀がオバさんを全力で演じ、その対比が木村多江というチョイスが神がかっている。玉木宏はどうしようも無いダメ男なのだけど、他人から見たら少し、可愛らしさというか、許したくなるような愛すべきバカなのが憎い。ユースケ・サンタマリアの屑っぷりも炸裂。

中谷美紀のズバズバの物言いも爽快だし、「こいつらムカつくわ〜!!」と思うところでSuperflyが「地獄に落ちてゆけ〜!!」と歌ってくれるのでスカッとする(主題歌の話)

 

8:家政夫のミタゾノ2(テレ朝金曜深夜)

オススメ度:★★★★★

 

みんな大好きミタゾノの続編。

続編を作る、というのは非常に難しいと思うけど、その期待を全く裏切らない続編。もしかしたら、ミタゾノさんはドクターXや特捜などに続くテレ朝の看板になるんじゃないかと思うほどの勢いがある。

 

松岡くん演じるミタゾノさんも非常に安定しており、男か女か何者なのかということは全く気にならなくなってしまった。相変わらずスカッとする内容で、「こうなるのでは」という凡人の予想の斜め上をいく展開。毎回楽しい。特に最新話の小説家の話は非常に面白い。

ただ、前作の相棒・ふみかすに比べると、今作の相棒・剛力彩芽は非常に色が強い。あの唯一無二のキャラクター・ミタゾノさんの相棒が、元々テレ朝深夜で主役を張りまくっている剛力ちゃんというのは蒸せそうになる。こ、こゆい、ど、どっちもこゆい…!と。

正直ふみかすが恋しい。ぐすっ。でも面白い。

 

9:Missデビル 人事の悪魔・椿眞子(日テレ土曜10)

オススメ度:★★☆☆☆

 

悪役の女王・菜々緒がついに主役!突如

大手保険会社に現れた椿眞子が、会社の闇をスカッと成敗するお仕事?ドラマ。

 

去年から新設された土22時枠という名の新設ジャニーズ枠。ライトな作品で見やすいというのが特徴だったはずが、今作は首を傾げる。

セクゾの佐藤勝利演じる新入社員・佐藤が各部署に配属され、人件費削除のためにリストラ候補を見つけてこい→椿眞子の美脚で成敗!というのが流れだけど、いまいちスカッとしない。スカッとしないスカッとジャパン。

コメディかと思えば結構闇を抱えていて、そこがどう展開するかが今後の見所だと思うけど、割と摩訶不思議な作品。佐藤勝利くんが好きならば見たほうが良い。私は好きです、ええ。

 

10:おっさんズラブ(テレ朝土曜深夜)

オススメ度:★★★★★

 

なぜか2016年の大晦日に放送していたSPドラマの連ドラ。主役・田中圭、ヒロイン・吉田鋼太郎、ライバル・林遣都という絵面も字面も強い内容。

テレ朝深夜の真骨頂とも言える今作で、ラブコメとしてもかなり秀逸。ツイッターでも言った通り、何かを伝えよう世の中に訴えよう、という意義がある作品を作ろう、作らねばという風潮の中、何の意味も持たない面白いだけの作品を世に送り出そうとしたテレ朝の心意気に感服した(褒めてる)

絶妙なテンポの脚本と、役者の全力の芝居が面白い。何なら吉田鋼太郎が只々面白い。今後の作品で吉田鋼太郎を見ると間違いなく部長姿の吉田鋼太郎が頭を過る、というよりは棲みつくのではないかと思うくらいインパクトが有りすぎる役。田中圭も最高だし、林遣都くんは特に最高(当社比)あと、主題歌がスキマスイッチなことが輪をかけて面白い。

 

11:ブラックペアン(TBS日曜9)

オススメ度:★★★☆☆

 

小説原作の実写化。

同僚の医療ミスを防ぐために、ニノ演じる天才外科医が「1000万で解決してやるよ!」ともみ消す話かと思っていたがどうやら違う…?!

三話現在、スナイプという医療器具が主役になっているのでどんな話だったか忘れてしまった。

個人的に、医療モノと事件モノはハズレなしで面白くて当たり前!と思っているのだが、今作には終始違和感…。医療モノならではのスッキリ感もなく、終始どよんとした雰囲気が漂う。

日曜劇場だからどうにかなるだろうと期待を込めての★3。こんな病院には当たりたくない。

 

12:崖っぷちホテル(日テレ日曜10時半)

オススメ度:★☆☆☆☆

 

戸田恵梨香が支配人を務める、まさに「崖っぷち」なホテルに元三ツ星ホテル副支配人の岩ちゃんがテコ入れをする話。

枠の話はさておき、放送開始までは非常に期待していただけに、非常に残念。ドラマの脚本というよりはアニメのような、ライトノベルのような…。全体的にチープ。

戸田恵梨香を始め、本業役者陣は月9も張れるのではないかという豪華さなだけに非常に勿体ない。何なら、りょうと渡辺いっけい鈴木浩介をここに使うのが勿体ない!

ただ中村倫也が好きならば見るべき。中村倫也はむちゃくちゃいい。スピンオフ作って欲しいと思うほどいい。浜辺美波ちゃんも可愛いけれど、彼女の本領はコレジャナイ感がする。

 

*****

 

一言というわりに、全く一言では収まりませんでした!

オススメ度でいうと「おっさんズラブ・コンフィデンスマンJP・家政夫のミタゾノ」が三強。しかし、★4の作品はどれも甲乙つけ難く横並びで、何なら★5とも大差がないくらい。中盤から更に面白くなる作品が多そう。

 

同じく★1、2も大して変わりはなく、ただ、★1〜2と★4〜5には越えがたい壁があるといった感じ。「いつまでも白い羽根」は二話か三話まで見ていたのですが、続きを見れず…今の所★2くらい。孤独のグルメは最早、別枠で★5です。

2018年冬ドラマにだだハマりしすぎていて、今季はなぁと思っていたけど面白い作品も多いですね!

テレ東とNHKを全くカバーできていないので、視聴作品増やしたい!と気持ちだけはある明日菜子でした。

 

 

「隣の家族は青く見える」を兎にも角にもオススメしたい

私事だが約一ヶ月半のニート生活を終え、2月から再び働き始めた。その前まで不定休だったのが数年ぶりに土日休みのフルタイムで働くことになり、多くの人が感じる金曜夜の高揚感や、サザエさんが齎す焦燥感が分かるようになった。しかし、そんな私が一週間で一番楽しみにしているのは、金曜の夜でも土曜日でもない。ましてやサザエがやってくる日曜日でもなく、それは木曜日。「隣の家族は青く見える」が放送している木曜の夜だ。

 

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今回の#となかぞ(長いので略)は私のTL上では見ている方が非常に多く、毎回トレンドにも上がるのだがハチャメチャに視聴率が悪い。前作のゆがみより悪い。恐らく私みたいに録画勢やTVer等で視聴している方が多いのかもしれないが、も、もしかしたらこんな素晴らしい作品をご存知ない方もいるのかもしれない…!!と思い、今回に至った。
私がオススメした友人の3人のうち2人がどハマりしているので(母数が少ないのはさておき)未視聴の方には是非見ていただきたい。


まず脚本を担当されている中谷まゆみさんについてお話ししたい。


中谷さんと言えば、前作は私の大好きな石原さとみ主演の『地味にスゴイ!校閲ガール』で、かつての『WATER BOYS』シリーズを手がけていた御方だ。中谷さんはフジテレビ木曜22時枠に非常に縁がある方で、柴門ふみ氏原作の「お仕事です!」や同じくさとみ主演の「ディアシスター」そして…あの「ラストシンデレラ」も中谷さん脚本である。あのラストシンデレラ、私が再放送含め2度沼った不朽の名作、あの、ラストシンデレラだ。

 

中谷さんの脚本はテンポが良く、嫌な複雑さがない。内容はストレートなのに、じわじわと心に来るような台詞が多い。登場人物が複数いてもオムニバス小説のように各々のキャラクターを立たせ、それを一つの話に上手に織り混ぜることが出来る。
#となかぞってどんなドラマ?と聞かれると「妊活の話」と言うだろうが、妊活は今作が掲げるテーマの内の一つ。コーボラティブハウスという集合住宅を舞台にした「4組の家族の物語」なのである。


メインは深キョンと松ケンが演じる「五十嵐奈々・大器」夫妻。
深キョン×松ケン夫婦といえば、大河ドラマ平清盛」以来2度目の夫婦役。実年齢と同じく、奈々(35歳)大器(32歳)の姉さん女房だ。スキューバーダイビングインストラクターをしている奈々に大器が一目惚れし、結婚。マイホーム購入をきっかけに子作りを始めてみると一年以上経っても出来やしない。不安に思った奈々は大器と共に産婦人科に向かうが、早々に医師から「不妊症」と告げられてしまう。奈々と大器は戸惑いつつも悩んだ末に妊活を始めるところから、物語は始まる。

 

深キョンは何を演じても可愛いが、今作の奈々は凄まじく可愛い。女優といえば私は石原さとみが大好きなのだが、心のノートの「来世に生まれ変わりたい有名人」のところに石原さとみと同じく深田恭子と書こうと決めたくらい可愛い。深キョンと同年代や近い歳で活躍されている女優さんは沢山いるが、深田キョンだからこそ出来た、今となっては深田恭子無しには考えられないベストキャスティングだと思う。

 

 そして同じくどハマりしているのが大器役の松ケン。松ケン演じる大器も松ケン自身が持っているのであろう人柄の良さが溢れているというか、もう駄々洩れしている。
初回こそ数々の検査に戸惑い無神経な発言もしていたが、回を増すごと妊活への理解を深め、良い旦那っぷりが炸裂しているのだ。大器の半分は、というかほとんどは奈々への愛で構築されている。

 




私も毎回この類のツイートをしていて、恐らくドラマの最終回では「日本中皆んな松ケンがいい」と言いだすんじゃないかと自分でも思うし、もう言う。日本中皆んな松ケンでいい。松ケンがいい! 
アンチヒーローや何かと問題を抱えた主人公が登場する作品が増えている中、#となかぞの奈々・大器夫妻は好感度抜群で思わず応援したくなる二人。毎週自分の事のように幸せを願わずにはいられない夫婦なのである。

 

しかし一口に「妊活」と言っても、二人が置かれている環境は中々酷なもの。
子供がいないのにも関わらず、大器がおもちゃメーカー勤務の為に部屋にはおもちゃが沢山あるし、大器の妹の琴音はできちゃった結婚。勿論妊活していることを周りにも言えず、高畑淳子さん演じる大器の母には「あんた達の子供が早く見たいわぁ~」と言われ、まさに困難の役満状態だ。
他の面々はというと、平山浩行×高橋メアリージュンの「子どもがいらない事実婚カップル」や眞島秀和×北村匠海の「同性カップル」、そして小宮山一家がいる。言うまでもなく、私が沼った原因はわたさくと言われる同性カップルだ。沼の原因なので少し触れておく。

 

正確に言うと、朔を演じる北村匠海くんに沼った。詳細は割愛するが#となかぞ放送前に見た『勝手にふるえてろ』で沼が見え、一話で見事に沈み、気が付いたらDISH//のCDを購入していた。お相手の眞島さんは、私の中では「残念なイケメンばかり演じるイケメン」という印象でやっと普通の人の役がきたのか…!と素直に嬉しかった。放送済みの6話では仄かにマザコンの香りがするし間違いなくマザコンだが今作の眞島さんは普通にいい人そうなので安心している。

 

公式が呼ぶ「わたさく」とは、舞台となったコーポラティブハウス建築士・渉と、バー店員・朔の男性同士カップルのこと。ここもオサレ事実婚カップルと同様、当人達が幸せそうだから問題ないと思っていたが、中々大変なことになっている。

ナイスバディで且つ「得意料理は肉じゃが」と宣言した橋本マナミが二人の仲を引き裂こうとしたり、渉の母が早く結婚しろと詰め寄ったり、セクシュアリティに対する各々の見解の違いで本人たちも度々衝突する。当事者でないとわからないことだろうが、このセクシュアリティに対する考えの不一致はかなり致命的な問題だ。保守的な渉に対して今時な考えの朔。対称的な二人だが、朔の物怖じしない本質を真っすぐに捉えた発言は渉じゃなくとも心に響く。
放送済みの第六話で「事実婚だと思えばいいじゃない」と言ったちひろに対して、「好きで事実婚を選ぶのと、事実婚しか選べないのは違うんだよ」と返した朔の言葉には考えさせられた。
誰に対してもフラットな世界のように見えて決してそうではないのが世の中。今期では『女子的生活』や今期一番の摩訶不思議ドラマ『明日の君がもっと好き』でもLGBTのことを取り扱っており、昔のようにタブー視されることは減った。しかし、彼らが住みやすい世界なのかと言われるとそうとも言い難い。今の時代、まだまだ不条理な世の中で彼らがどういった未来を選んでいくのだろう。いろんな意味で目が離せない二人だ。

さらっと言ったが最後の小宮山一家が相当根が深い。商社マンの夫と綺麗な妻、可愛い子供…が表の顔。実は夫は求職中で妻は承認欲求の為にインスタに奮闘しているという非常に強烈な家庭だ。先ほど「友達3人にすすめたら2人ハマった」と言ったが、一人が初回リタイアした原因がここ。小宮山さん家の強烈すぎる奥様だ。

TLでは必ずと言っていいほど悪い意味で小宮山さんの名前があがる。インスタ大好きおばさんだけならまだしも、彼女には相当古風な価値観が根付いており、それを他人に押し付けるのだ。

「女は子供も産むのが普通」「同性カップルなんて子供に良くない」と腹の中で思うならまだしもまだしも、本人達にいってしまうのだから相当タチが悪い。
友達には「必ずスカッとジャパンされる日がくると思うのでその日までしばし耐えてくれよ」といったが、小宮山さんも中々ハートが強い為に何を言われてもめげずにゴーイングマイウェイしている真っ只中。

 

そんな強烈すぎる小宮山さんを演じているのは元宝塚のトップスター・真飛聖さん。私は真飛さんが大好きだ。あんなに御上品な御顔立ちなのに中々下世話な役まで演じられてしまうのだから、本当に素晴らしい女優さんなのだ。皆の敵・小宮山さんだが、彼女は視聴者への反面教師の材料として作られたようなキャラクターだと思う。小宮山さんのようになっちゃいけないと意識させてくれるし、全視聴者の怒りやイライラを全て小宮山さんが背負ってくれている。個人的には、ドラマにおいていなくてはならない人物だと思うし、真飛さんは素晴らしいのでそんなに嫌わないであげてほしい。


ちなみに小宮山さん家の小宮山さん、つまり旦那さんを演じているのは野間口徹さんだ。野間口さんが出ているだけで面白いし、とても癒される。しかし海外勤務が多く子供達の側にいたいから早期退職したというのは分かるが、6話の時点で仕事が決まっていないというのはどうなんだ。しかも次はボランティアの塾講師になりたいとか、本当にそれはどうなんだ…!小宮山さんが良いところに再就職できたら問題は解決するのかと思うが、そう簡単にはいかないし、多分まだ就職できない。


小宮山家は「他人からは幸せそうに見えるごく一般的な家庭でも決してそうではない」ということを暗示させている。そしてそれが、ヒリヒリと痛いほどに伝わる。どうしたら小宮山家の皆んなが幸せになれるのかは検討がつかないが、とりあえず早く、一刻も早く、小宮山さんには就職していただきたい。

 

個性的な面々にキャストも最高、そして脚本も最高。初回を見ていた時、ハチャメチャに面白い作品だと思った。しかし時々入る性教育ビデオのような内容が、この作品の熱をふと冷ますように感じていた。

何かと言うと須賀健太くん演じる大器の部下だ。「主任、〇〇って知ってます?」と切り出し、必ずと言って良いほど性教育知識を披露する。こんなに詳しいやついるのかよ!と思っていた。

 

しかし回が進んでいくと、自分が不妊症や妊活について実は何も知らないことがわかってきた。あんなに沢山の検査をすること、副作用が出る薬を飲まなくてはいけないこと、助成金の条件に年齢制限があること。その時に思った。この作品もまた、世の中に知らせる為に、啓発の為に作られたのだと。そしてこれも思った。 須賀健太くん、余計なやつだと思ってごめんと。君はいるべき存在だったんだ…!

 

渉が同性愛者だということが判明した際に、奈々は「知らないことを知ろうとせずに批判だけするなんて最低」とプンスコ怒り、須賀健太くん演じる部下は大器に「無知こそが、いらぬ偏見や差別を生むんです」と説いていた。女子的生活の時も感じた。私たちは何でも知っているようで、知らないことばかりだ。自分が体験していないこと、自分には当てはまらないことは知らない。知らない事は怖いことだ。だから自分と異なるものを見たら避けたり、排除したり、その対象を奇妙に思う。その何気ない行動がや考えが、誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。自分だけは違うと思いながらも、心の中には小宮山さんの奥さんが棲みついてる可能性があるのだ。

 

 #となかぞは作品を通して「多様性の提案」をしている。コーポラティブハウスの人々のように、自分と異なる環境に置かれている人が私の近くにも、例えば私の隣の家にもいるかもしれない。ドラマとして勿論面白い作品だが、それだけではなく、作品を通して多くのことを教えてくれ、考える機会を与えてくれる。本当に本当にすんばらしい作品だということを、声を大にしてお伝えしたい。

 

ちなみに、この記事を書こうと思ったのが水曜日。anoneを見ながら書いていたが、ほぼほぼ内容は入ってこず、ひたすらこんなことばかり考えていた。

 

奈々と大器の所に早く赤ちゃんが来ますように。

 

となかぞの視聴率が上がりますように。

 

松ケンみたいな人が500000人くらい誕生して、私のところにも来ますように。

  

アラサー独身の身で人の家庭の幸せを願っている場合じゃないのは百も承知なのだが(しかもドラマの夫婦)、奈々と大器には1話でも早く幸せになってほしいと作品を見るたびに思う。

会社帰りにポツポツと文字を打つ。体は疲れているのに心が妙に弾んでいた。そうか。今日は、私が大好きな木曜日だからだ。

今期、一歩先を進んだドラマ「女子的生活」

NHK「バリバラ」という番組をご存知だろうか。
 
私の大好きなNHKのバラエティ「ねほりんぱほりん」も、民放では考えられない攻めた番組だと言われているが、この「バリバラ」もなかなか鋭利な角度で攻めている番組だ。「障がい者の為の情報バラエティー」というジャンルで、私もネットニュースなどでは目にすることはあったが、昨年初めて番組を見た。
 
その時は「LGBT温泉」という回だった。レズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、そして男性の放送作家で温泉に入ろう、という内容である。番組のお言葉をそのまま拝借すると、これが何ともややこしい。参加したドラァグクイーンの方も「ぐったり」な、見ているこちらとしても非常にカオスな光景だった。これを話し出すとLGBT温泉で終わってしまうので、気になった方は是非検索ほしい。
 
というわけで今回は、「攻め」のNHKが生み出したドラマ「女子的生活」について。
 
 

NHK金曜22時「女子的生活」

 

主人公・小川みき(志尊淳)は、見た目は美しい女性だが元は男性、というトランスジェンダー。彼女はファストファッション会社に勤めており、「女子的生活」というブログを担当している。その題名通り、みき自身も#ハッシュタグをつけたくなるような、女の子らしいキラキラした生活を満喫していた。トランスジェンダーの友達とのルームシェアが解消した矢先、みきの部屋の目の前に現れたのは、高校の同級生・後藤(町田啓太)だった。「幹生」ではなく「みき」となった姿に驚くものの、行く当てがないので泊めてほしいと頼む後藤。最初は渋ったものの、根負けして部屋にいれるみき。こうして、みきと後藤の奇妙な共同生活が始まるのだった。
 
 
今作は、何といっても「戦うヒロイン」のみきの魅力が溢れまくっている。
その魅力がみきがLGBTだからあるものではなく、みきという人間だからこそのものだと、本編を見たらばっちり伝わることだろう。
 
 

主人公・「小川みき」

 

まずみき自身のセクシュアリティに触れておくと、彼女はトランスジェンダー(性違和)で、元は男性だが女の子になりたい人。しかし恋愛対象は女性。
これがみきを”複雑な“トランスジェンダーと表現する理由で、みき自身をも悩ませている。
第一話では合コンで出会ったTHEオーガニック女子(一昔前でいう森ガール)・ゆいをまんまと落とすことに成功。そのまま一晩を共にするのだが、ゆいは普通の女の子。しかも彼氏持ち。
この関係が長く続くものではないと理解した上で、みきはその場の恋愛を楽しむのだった。
 
みきを演じる志尊淳は可愛いし、志尊淳演じるみきも可愛い。ただお顔が可愛いからという可愛さだけでなく、女の子に憧れ、理想を追い続けたからこそ身につけられた可愛さを持っている。
 
同僚はみきを普通の女性として接しているし、みきの上司も「うちの服が似合うなら男も女も関係ない!」と採用を決めた(しかし直後に「で、ついてるの?」と聞くのだからデリカシーは全くない)
 
近所のコロッケ屋さんはみきを「綺麗なお姉さん」と呼んでいるし、ゆいも後藤も、みきのことを最初は女性だと思っていた。
しかし、実際の志尊くんは178センチと意外にも高身長で、みき自身も「デカい女」と言っている。椿姫彩菜さんや佐藤かよさんのような「言われなければ全くわからない系」かと思いきや、そうでもない。
日常に溢れている差別や偏見と、みきは「戦っている」のだ。
 
 

戦うヒロイン・みき

 

第二話ではみきを取材したいというテレビ局のディレクターから「君、男だよね?」とぶっこまれ、続いて高校の同級生だった高山田からは失礼千万な言葉を浴びせられていた。
 
続く第三話では仕事先でいった(しかも散々悩みをきいてあげた)女性に「あの…男の方ですよね?すごいなぁ、都会だったらこういうの許されるんですね!頑張ってください!」と励ましのようで一ミリも励みにならない言葉をかけられる。前者の二人も凄いが、この女性は無自覚なゆえに破壊力が凄まじかった。
 
しかしみきはどんな時でも、笑顔でかわすのだ。
人間こんなもんだ、と言い聞かせて。
 
 
そのみきが家族と向き合い、己とも向き合うことになる第三話。
先ほど失礼ぶっこいた女性と同じく、兵庫の田舎にいるみきの家族。ひょんなことから、みきの父とみきをよく思っていない兄と再会することになる。
今まで色んな言葉をかけられても、それはあくまでも「他人だから」と割り切ってこれたのかもしれない。しかし今回対峙するのは、切っても切れない家族。兄は地元の公務員として働いており、田舎ならではの保守的思考で固められていた。
 
「そんな姿、ここで見せるな!」
 
「地元のやつに見られてみろ…お前のせいで俺たち家族が一生苦しむはめになるんだよ!」
 
高校から沸々としていたものを、一方的にぶつけるみきの兄。
そこで「それは…嫌な思いさせた、って思ってる」と返したのは、みきの強さだと思った。今まで他人に好き勝手言われて、他人の物差しで評価されても黙ってさらりと交わしてきたみきだったが、今回は違った。
 
言いたい放題の兄をがつんと殴る。
 
「別に逃げてるわけじゃない!私はこの格好が好き、ファッションが好き!だからこの仕事をしているの、だからこの服を着るの、こういう格好をしてるの!」
 
「別に逃げてるわけじゃない…」
 
「じゃあ、兄さんが好きなものは何?兄さんが大好きなものは何なん!?」
 
放送された第一話ではキラキラした女子的生活の裏側で、みき自身が背負うことになった宿命と孤独も見え隠れしていた。
好き、という気持ちはどんな建前よりも強い。このセリフは、自分が男なのか、女のか、何者なのかと彷徨っていたみきが出した、一つの答えだった。
 
その後、兄はみきに掴みかかるが「女に、手を挙げるもんじゃない」という父の男前すぎる一言で、いったん喧嘩は止まる。
田舎で住む父も、おそらくLGBTについてはよく知らないし理解はしていないだろう。
しかし自分の子供だから歩み寄ろうとした。最後に慣れない感じで呼んだ「みき」という一言が、何よりもその証だった。
 
 
 
 
ちなみにこの兄妹喧嘩を止めたのは父ではない。
家族の誰よりも号泣した、部外者の後藤だ。
 
 
 
 

そこらへんにいそうでいない男・後藤

 

今作を語るにあたって、後藤の存在を忘れてはならない。
町田啓太くん演じる後藤だが、そこらへんにいそうなTHE平均点の男として描かれている(しかし現実世界に町田啓太はそこらへんにいない)
 
第一話では思わず口がダダ滑りし何度もみきに幻滅され、第三話では居候の分際でトイレを詰まらせる。しょっぱなこそ後藤の単細胞っぷりにヒヤヒヤしたが、この男…なんとも出来る男なのだ。
 
 
まず衝撃のカミングアウトをうけた第一話。衝撃を受けた割には即座にみきのセクシュアリティについて理解をしようという姿勢が見えた。
みきがオーガニック女子・ゆいにロックオンし、明らかに「お持ち帰りしました~」みたいな翌朝にも「ゆいちゃんと付き合うことにしたのか?」とにこやかに聞いた後、「俺お前の性生活応援するよ」と言い出したのである(自分は合コンで誰も持ち帰れなかったのに…)
 
二話でも同級生・高山田に詰られ、自分の体を見せようとしたみきを「女のすることじゃない」と制止した。
その後なぜか女装に目覚めた高山田を見て驚くも、「せっかくおしゃれしたんだから外出ようぜ」と誘うなど柔軟性を見せる。
 
特に私が後藤の男っぷりを感じたのは第三話。
田舎から帰った後、なんとあの兄から名物のカニが送られてきた。
後藤は「お兄さんもお前のことを理解しようとしてるんだよ~」と隠れた兄妹愛にときめいていたが、みきは「違う(ネイルをした)この爪で食べてみろってことなの、嫌味なの」と受け取っていたのだ。
 
 
そうかなぁと言いつつ、はいどうぞ、と剥いたカニを渡す後藤。
剥いたカニを渡す後藤剥いたカニを渡す後…
 
 
ここで私は一度悶え死んだ。
 
後藤の男前っぷりに、その人間力の高さに眩暈がした。同時に私は思った。
 
 
 
「出来ないなら俺がすればいいか」
 
そう思って実行できる人が、実際どれほどいるのだろう。かくいう私もその場で出来るのだろうか。
LGBTという自分と異なるセクシャリティの人を目の前にして、その人の考えを尊重し、フラットに人付き合いができる人は決して世の中に溢れていない。後藤はやっぱりそんじょそこらに溢れていないのだ。
 
きっと後藤は、「バリバラ」などで数多くのジャンルの人と接してきたNHKが考える、一つの「理想」ではないのだろうか…。
というと少し大げさかもしれないが、先ほど話した「バリバラ」のテーマである「みんなちがってみんないい」というメッセージを、後藤には強く感じた。
 
 
最終回である第四話は、そんな愛すべき単細胞・後藤が「俺、部屋を出ようかと思って」と告げるところから始まる。
恐らく最終回でもみきに対して心無い言葉をいう人はいるし、後藤の単細胞っぷりは発揮されるだろうし、劇的に何かが変わることはないかもしれない。
最終回でもLGBTについて何が正しくて何がいいのかなんて結論は出ないだろうし、そもそも今作ではそんな不毛な議論はしていないのだ。
 
 
 
バリバラのLGBT温泉回で、結局温泉ツアーに参加した人たちの中で「何がいいか」という結論は出なかった。
しかしスタジオでVTRを見ていたMCの方が、こう言った。
 
「なんかVTRを見てると慣れてくる。慣れてくるパワーって凄いよね」
 
そう。
正解は出ずとも、この光景が当たり前になって、いずれ「慣れ」になる日がきっと来る。
 
みきがきっと、今よりもずっと、生きやすくなる時代が。
 
女子的生活は、その「慣れ」への為に作られた、作品の一つではないだろうか。
…と思ったり。
 
 
今期、一歩先を進んだ作品「女子的生活」
みきのラストファイトを、私も楽しみにしている。
 

「転売されてる0巻を買うなら映画館で見ればいいじゃない!」実写・鋼の錬金術師を見てきました

「思ってたより、悪くなかった…」

 

映画が終わった途端、自分と同じ世代であろう目の前に座っていたお兄さん二人が話していた。エンドロールが終わり明るくなった瞬間、友人と私が言った第一声もそれだ。

というわけで、映画「鋼の錬金術師」を公開初日に見てきたので少し感想。

 

0巻がどうしても欲しいと友人に言われ、公開初日に見に行くことにした。

 

2001年から連載が始まったので、その時私は小学生だった。ハガレンを知ったのは中学生の時で何がきっかけだったかは忘れてしまったが、なぜかアニメからハマった。そして原作をその当時全巻揃えて、もちろん最後まで見届けた(ちなみに私が好きなのは何と言ってもマスタング大佐×ホークアイ中尉だ)

 

毎度の大前提だが、これは私個人の感想である。

 

この映画は原作「鋼の錬金術師」を知っている人こそが見る映画だと思う。

その人が見てどんな感想を抱くかはさておき、前知識がない方が見ると中々わかりづらい映画になっているからだ。

もしかしたらパンフレット等で捕捉されているのかもしれないが、映画単品としては分かりづらい。冒頭で物語のチュートリアルのように村人Aが説明セリフで丁寧に話してはくれるが、初見ならばスっとは入ってこないだろう。

更に言うと「賢者の石ってなんだ?」という確信に触れるのが遅かったし、ホムンクルスたちの目的もはっきりとしていなかったし、真理の扉が何なのかを説明するのが難しすぎるのでボヤっとしている。しかしあの作品を二時間半で且つ単品で収めるならば仕方ないのではと思う。

 

そう。「あれほど作りこまれている原作なので全部表現できなくても仕方がない」ということが少しでも頭によぎれば、最後まで気にせず…というかちょいちょい「おっ?」と思うことはあっても最後まで見れる作品だった。私の中では「よく纏めたな」というのが、先ほどに続き二番目の感想だ。ちなみに「おっ?」で収まらず「ええwwww」となったのは、個人的には内山君のグラトニーだけである。笑った、ただの悪い内山君で笑った(褒めてる)

 

話はそれたが、「漫画の実写化をどうとらえるか」という個々の考え方も関係しているような気がする。そりゃ原作に忠実で内容も良いのに越したことはないが、そんなもの恐らく奇跡に近い。

私の中で漫画の実写化は「作品を元として作っている何か」であり、二次創作的な感じのモノというふわっとした受け止め方だ。花より男子』や『DEATH NOTE』が受け入れられたのも、「原作をそのまま忠実に再現できた」というよりは二次創作的な亜種として成功したからだと思っている。松潤の道明寺も、藤原竜也夜神月も最初は受け入れられてなかったはずだ。もし原作をそのまま忠実に再現してほしい!という人から見たら、あの二作への評価はまた別のものになっている気がする。そう思う人の気持ちも至極当たり前のことだと思うので、否定する気はないと再度お伝えしとく。

 

冒頭は幼い兄弟と母のシーンから始まり、人体錬成に移る。原作の冒頭の見せ場でもあるが、それを映画で再現すると難しかったのか、突拍子もなく(言っては悪いが)チープなCGが入る。それがウケる。あ、ここでも笑ってた。思わずウフフと笑ってしまった。

ちょくちょくそのチープなCGは入ってくるのだが、そう思っていて舐めていたら私のように驚くだろう。大人になったエドVSコーネロのバトルシーンは圧巻だった。普段アクションものなどを見ない私は単純に、CGすごい!と興奮した。鎧姿のアルフォンスの完成度も高く、アルはあの世界に確かに存在していた。

 

私の中では、エドもあの世界に存在していた。

情報開示の時から「エドを演じるなら、そりゃ山田君しかいないよな」と思っていたので、元から山田君のエドには賛成だった。見た目もさることながら、身長…そして、小柄な体に似合わない隠された筋肉。そのミスマッチさが何よりもエドワード・エルリックぽいのだ。所々喉を閉めて発声するところも、アニメでエドを演じてらっしゃる朴さんを意識しているのかなと思った。

アニメと言えばエドだけでなくアル役の釘宮さんも絶対的な存在だが、映画版でアルの声を担当した水石さんも良かった。「くぎみー以外のアルフォンスなんて受け入れらるのだろうか…」とかつての声優ヲタクな自分が久しぶりに顔を見せたが、水石さんのアルフォンスも良かった(二回目)真理の扉にいた片目しか見えなかったアルフォンスも美少年だった。

ヴィジュアルが出た当初から評判が良かったホムンクルス三人衆は、もうこの人たち以外はあり得ないと言うほどのクオリティだった。大総統が登場しない為かホムンクルスの存在理由や目的は非常にあやふやだが、あの三人を見ると小さいことは気にすんなと私の中のゆってぃが踊っていた。

ちなみに私の一押しは、勿論エンヴィー役の本郷奏多さんだ。

使い古したモップみたいな髪型をさせられているのにそこからチラリと見えるお顔は非常にキュートで、普段グミしか食べないという異質さが生んだあの繊細な体は見事だった。

よくわからない髪型に加えよくわからない服装で耐えれる画の本郷奏多は選ばれた存在だと思わずにはいられなかった。

某TMレボリューションさんのようなタイトな服装をしているエンヴィが火に包まれるシーンで、つい「これが本当のHOT LIMITや…!」と心の中で叫んでしまったのは私だけではないと信じたい。

 

想像したらわかると思うが、ヒューズな佐藤さんもロス少尉な夏菜さんも良い。想像以上にロス少尉はハマっていた。

 

個人的には大佐をするなら及川ミッチーしかいないと考えていたが、おディーン様の大佐も格好良かった。

格好いいのだけれど、それは軍服をきたおディーン様だった。ウィンリィ役の本田翼さんも然りで、私の中ではポニーテールの本田翼さんだった。

私の中での永遠の大佐・大川透さんはとても快活よく話す方なので、おディーン様の癖のある話し方にいつにも増して癖を感じてしまった。なぜかマスタング大佐は、終始イケメンで友人思いな人物として描かれていた。ハガレンを映画で初めて見た人は、なぜ大佐の手から火炎放射が出るのか理解できなかっただろう。原作のように少しキザな一面や無能なところはカットだったので、性格的にもマスタング大佐らしさは全くといっていいほどなく、やはり軍服を着たおディーン様だった。

ホークアイの蓮佛さんもねぇ…個人的にはホークアイにしては若すぎるなという印象。ちなみにタッカーな大泉さんは大泉さんだった。お芝居は言うまでもなく見事だが、ちょいちょい出てくる本人の存在感がデカい。ボコボコに殴られるシーンでは、ただ大泉洋がボコボコに殴られてる画にしか見えず、そこでもまた笑ってしまった。

 

こうして帰宅後に急いで感情の赴くままに記事を書いたのも、某サイトで転売され高値で落札されている0巻を見たからである。「そんなに映画見るのが嫌なの…!?」と思い、案外そうでもないよという記事を書いた(つもりだ)

でもツッコミどころは勿論あるので、純粋に作品をそのまま映画に求めてる人は覚悟がいるのかもしれない。 前にも述べたが、私はチープな邦画を見ることが趣味なので、そういった面で言うと楽しかった。

 

私のように昔ハマっていて今はボヤッと…という感じの俄かが言っても説得力はあまりかもしれないが、少なくとも私はこの映画を見て「原作を読みたい」「アニメもみたい」という衝動にかられた。見なければいけないと思った。

もし私と同行した友人が原作を一度も見たことがない人だったら、私はこの映画を見た後「とりあえず漫画見てよ!!」とごり押ししたことだろう。映画で感じたモヤモヤを解消するには原作しかない。起爆剤としてならば十分な作品だ。

 

先述したが、音楽やあのCG技術を味わうならば絶対映画館だ。言葉を選ばずにどストレートにいうと、レンタルして見る価値はさほどない。レンタル待ちするならば絶対映画館で見たほうがいい。

そして何といっても、メ〇カリなどで高値で入場者特典の0巻を購入するならば、確実に映画館に行った方がいい。

近くに映画館があるならば尚のことだ。

 

私の手元にある0巻も、そして転売されている0巻も内容は同じだ。もちろん同じだ。

しかし、上映前に渡された0巻を座ってからすぐ開き「うわ、ハガレンだ」と久々に感じたあの高揚感を、メ〇カリ経由で買った0巻では感じることができない気がするのだ。

漫画を読み終わって「ネタバレ注意」と真理くんが煽ってくる荒川先生×監督の対談を読みたい衝動をグッとこらえ、映画を待ち望むあの気持ちも、自宅では味わうことが出来ないだろう。

0巻は鋼の錬金術師の新作ではなく、あくまでも映画・鋼の錬金術師への導入だ。プロローグだ。何よりも、あの荒川先生がこれから映画を見る私たちを盛り上げてくださっているモノこそが、0巻なのだ。

 

「0巻欲しいかわりに見に行けなんか等価交換だよ~!」という思っている方がいたら、こういう感想のやつもいるよってことを知ってほしい。

映画館に行く前「持ってかれるぅぅぅ」という気持ちだったとしても、映画を見終わった後に松雪泰子のラストは良かった」というはずだ。

 

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい③「オトナ高校」

①②はこちら。今更ながら順番は関係なし。

asunako-hakusho.hatenablog.com

asunako-hakusho.hatenablog.com

本題に入る前に捕捉する。

突然だが、私はチープなドラマが好きだ。

チープと表現すると作品を批判していると感じる方もいるかもしれないが、そうとも限らない。チープといっても色々ある。脚本か、テーマか、作風か、それとも全部なのか。どれが良くて何が悪いかは一概には言えないが、たいして何も考えずに視聴でき、茶番のように見え実は果てしない伸びしろを潜めているのがチープドラマの良さだ。

 

今までもそうだったが、ここからは私の個人的すぎる見解。

チープなドラマと言えばテレビ東京を想像するかもしれないが、私はテレビ朝日もお勧めしたい。遊び心あるテレ東は確かにチープな作品が得意で、毎クールある一定の層にとても好まれる作品を送り出している。しかしテレ朝は毛色が違う。テレ東のアングラな雰囲気に対し、テレ朝はなぜか堂々としているように感じる。

テレ東が下北沢の劇場で茶番をしてそこに通うマニアたちに披露するならば、テレ朝は東京ドームで好み関係なく堂々と茶番劇をするような…この表現があっているかはわからないが、妙な華やかさと堂々たる感じがテレビ朝日のチープドラマにはあるのだ。

相棒」や「ドクターX」の放送局がこんなゆるい作品を放送するのか!?とテレ朝の深夜枠には度々驚かされるもので、現に今放送されている「重要参考人探偵」はその典型的な例だ(そして重要参考人探偵も何が面白いかは不明だが何か面白い)


しかし、侮っていると三周くらい回って「迷作」が「名作」へと進化する作品もある。昨年放送された「不機嫌な果実」や「奪い愛、冬」は量産されまくっていた不倫ドラマ界に、突如彗星の如く現れ我々に強烈なインパクトを残した。「家政婦のミタゾノ」はTOKIO松岡君の女装姿が見れる上に生活の豆知識まで知れるとよくわからない奇妙なお得さを感じたし、前クールの「あいの結婚相談所」での山崎育三郎さんの使い方には各局が嫉妬したことだろう。

そんなテレ朝深夜枠が次に生み出した作品がこれだ。

 

③オトナ高校(テレビ朝日/土曜/23時5分)

2017年政府は深刻な少子化に歯止めをかけるため、性経験のない30歳以上の男女を公的教育機関「オトナ高校」に強制入学させる「第二義務教育法案」を打ち出した。政府から突然、オトナ高校への入学を義務付けられたトップバンク行員の荒川英人は戸惑いつつも入学。卒業条件である「童貞卒業」を目指して30代から50代まで様々な学友と悩みながら人として成長していく。(wikipediaより)


OPは主役の荒川英人を演じる三浦春馬さんが、何とも言えないチャーミングな笑顔で小粋にステップを踏む。このわずか10秒程度のOPを見るだけで感じる。このドラマ、センスがいい。

少子化対策の為に、童貞・処女を卒業させる」という非常にシンプル且つチープなテーマだが、実は奥深い。ゴールデンボンバー歌広場淳さんも毎週ドラマに関する考察ツイートをされる程の熱狂っぷりだ(私はこの歌広場さんの思いが、最終回直前で作品に何らかの形で結ばれるのではないかと予想している)


なぜあの三浦春馬が、黒木メイサが、そして高橋克実までもが未経験なのか。各々の未経験の理由が様々で皆色々なことを拗らせているのだ。
そのオトナ高校の教師陣は、5人の子宝に恵まれた翔馬先生(竜星涼さん)、可愛い顔をして実は百戦錬磨のさくら先生(松井愛莉さん)、見た目と裏腹に5人の愛人を持つ持田先生(正名僕蔵さん)と生徒に負けず劣らずの強烈な設定である。
「性行為をする」ということが目的且つ卒業の条件だが、その授業は実生活での人への接し方やアプローチ方法など基本は他者とのコミュニケーションが主な内容だ。画面越しの私たちも、過激な三人の先生から何か学ぶことがあるのかもしれない。

 

普段のツイートや今回の記事の文章でちょいちょい気持ちがはみでるかもしれないが、私は三浦春馬さんが好きだ。前から好きだったが、この度の「ラストシンデレラ」再放送で再び沼にはまった。その「ラストシンデレラ」では究極の年下彼氏を演じ「直虎」では稀代のスケコマシを演じた彼の次作が、「チェリート」とあだ名のついた童貞だなんて誰が予想しただろうか。
「イケメンが童貞を演じてもな…」と言う方もいると思うが、童貞なのは荒川英人だ。英人は高学歴高収入高身長で且つ御顔が三浦春馬という類い稀なポテンシャルを持っているが、重度の拗らせを発症しており当初の性格は事故物件レベルでひどかった。
「ピンク英人」といわれるピンク背景で英人が心の内を喋るカットは、少なくともモテる人が言わないような言葉・持たない思考のオンパレードだ。
しかしその英人が嫌がっていたオトナ高校で学び、壊せなかった自分の殻を徐々に破っていく。「自分の信念を持った大人が頑張って変わる」というテーマは「先に生まれただけの僕」と通ずるものがあり、きっとあなたもチープドラマにありがちな謎の感動を味わうことになるだろう。
三浦春馬さんを始め、今作は役者全員の芝居が振り切っていて気持ちがいい。安定の高橋克実さんや久々のドラマ出演の黒木メイサさんを始め、竜星さんや夕輝さんなど役者さんそれぞれの新たな魅力に気づくはずだ。

 

話は逸れるが、私の知り合いにも高学歴30歳童貞がいる。しかし残念ながら、三浦春馬でもなければ三浦春馬の「み」の字もない。

そう。現実世界ではありえないことなのだ。しかし今の段階で残すところ数週間は「三浦春馬が童貞な世界」が存在している。更に言うと先週は城田優までもが童貞な世界」がそこにあった。
一息つけた土曜の夜にはテレ朝にチャンネルを変えてほしい。

その時間軸にしか存在しない童貞の三浦春馬が、きっとあなたを待っているはずだ。